9#逃亡

 抜けない・・・ハンターが迫ってくる・・・はあ、はあ・・・ぬおおおおおお!!!


 やっと抜けた!でも・・・僕の体は傷だらけだ。血まで辺りに、にじんでる。これでは血の匂いでハンターの猟犬に・・・そんなこと考えてる暇はない!


 僕はハンターの気配のすり場所を避けて大急ぎで逃げた。逃げて逃げて逃げまくった。


 川を渡り血の匂いを消して、野を横切り・・・まるで風船が吹き口から空気を吐き出して、吹っ飛んでいるみたいに。


 でも・・・痛い。体が・・・ヒリヒリする。吹き口から空気を出しきって萎んで墜落する風船のように、ヨロヨロと僕は倒れた。


 疲れた・・・


 「いたぞー!」


 ハンターに見つかってしまった!待ち伏せされていたんだ。僕は一目散に・・・その瞬間・・・バーン!


 僕はハンターの鉄砲の玉に命中した。ぴぎ~!!僕は余りの痛さで叫んだ。でも僕だって山の主の端くれ。命中しただけで、僕の頑丈な厚い脂肪で鉄砲の玉をはじいた。単に僕の自慢のスピードではじくことが出来ただけだろう。


 また撃ってきた。しまった!もろに体に散弾が・・・後ろ脚に猟犬が噛みついた!離せ!離せ!ぴぎ~!!


 最期の手段だ!えいっ!


 キャイーン!!


 猟犬はもんどりうって離れた。


 僕は死に物狂いでハンターにこれも自慢の鋭い牙を向けて、突進だ!


 猟犬はもんどりうって離れた。

 次は自慢の鋭い牙でハンターをはじいて突進だ!

 やった!窮地脱出成功!!


 いや、まだハンターがいっぱいいる!強行突破だ!!ぴぎ~!!!


 ざまぁ~ははは!!・・・ははは・・・ はあ・・・ごめん人間のみんな。僕だって生きたいんだよ・・・あのスイカが人間に大切な物に手を出して・・・僕は自分の欲のために・・・僕は・・・僕は・・・何てことしたんだ!!そのせいで人間を敵にまわしてしまった・・・僕のせいだ!僕のせいだ!うわあぁ!!


 僕の目から懺悔の涙がぶわっと溢れて止めどなく溢れて・・・全速力で走って・・・涙で前見えなくて・・・前のトラックに気が付かないで・・・


 ガンっ!!


 自分はトラックにもろに跳ねられた。

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