10#希望
僕は死んだと思った。
僕はどうしたんだ?めまいがする。今さっきトラックにぶつかった時の影響か?
体中が痛い。でもここはどこだろう。
ここは・・・橋架の土手。跳ねられた瞬間、墜落したのは深い川。
しかもこの大イノシシの頑強な体。命が助かったのは偶然が重なり合ったラッキーだったかも。もしかしたら夢で会った母さんが助けてもらったのかも知れない。
僕は痛い体を引きずって土手に出ていた。そして、自分がトラックに跳ねられた場所へ。
道路にはトラックの破片が散らばっていた。大丈夫かな。 人間に見つからないように、すごすごと歩いた。いつの間にかとある街に。
子供連れの人間がいる!子供の手には風船が!!
また子供。その子も風船を持ってはしゃいでいる。
あの時森にいた時、無数の風船が飛んでいたのを見た時は、もしかしたらここからか?
あの街にはいっぱい風船がある!風船!風船!僕の友達!!風船を鼻で突きたい!風船を思いきり息を入れて膨らませたい!そして吹き口離して飛び回せたい!そして風船のあのいい匂いを思う存分嗅ぎたい!
いっぱいの風船と戯れたい!!!
僕の胸は、正にはちきれるばかりの風船のように膨らんだ。
体の痛みも、脚の・・・ぐきっ・・・トラックにぶつかった時にやっちったかな?
もう体の痛みも、あの時のまだ体に残る散弾も、脚の・・・ぐきっ・・・トラックにぶつかった時にやっちったかな?でも、あの街に行けば風船がある。待っててね。
僕はひょこひょこと土手を何とか上がって、橋を渡り・・・え・・・しまった!人間にまる見えだ!!まいいか。
お嬢さん、あ、撫でてくれるの?この子も風船持ってる!ふふ~ん・・・あれ?そこのお母様?いきなりお嬢さんを抱きかかえて・・・きゃ~大きいイノシシが出た~だって?お嬢さん、風船離しちゃったな。
あれ、周りでいっぱいの人間が追いかけてくる・・・やば!逃げなきゃ!・・・うっ!脚が・・・!!
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