僕のプロローグ

星永静流@ホシ

第1話僕のプロローグ

 僕のプロローグ

            the134340th(ホシ)


 いつ始まったのか、それは僕にだってわからない。

 それでもまだ歩き始めたばかりの距離なんだって、僕はなんの根拠もなく、そう思う。

 はぁはぁと息を切らしながら、ときどき休憩をして、先もなにもみえない、ゴールというゴールというものもない、未来に向かって歩いていく。

 光りが降り注いでいた。

 それは僕にだけじゃない。誰もが平等に、声価に、名聞に、栄光に。

 よちよち歩きで歩いていく。その歩幅はゆっくり大きくなり、だんだん今の僕のようななんの不自由もない脚になる。

 まだ歩き始めたばかりだ。

 僕は僕に言い聞かせる。

 この社会は障害レースのようにすら思う。誰かを蹴落として成り上がったり、病気や理不尽な死に方ををしてしまったり、周りのペースを追い抜かさぬよう、追い越さぬよう、誰かの顔色をうかがったり。

 でも僕はそれをもう、やめようと思った。

 だから僕はそれにさよなら、と手を振った。

 風が吹いていた。

 きっともうすぐ春がくる。そんな仄かに暖かい風が頬に当たる。僕の心をクスクスとくすぐってくる。僕にはそれが、嬉しく思う。

 僕はきっと、これからいろいろなものに触れるはずだ。

 小説や、映画や、音楽や絵やアニメに。

 そのときに僕はそのひとたちをそのまま愛してあげたい。

 だって彼ら彼女らは、そのときにしか生み出せなかったものばかりだから。それが彼ら彼女らが、一番イケていると思ったものばかりだから。

 強い光が当たっていた。

 それはきっと運がよかったんじゃなくて、自分がこれまでやってきた実力なんだって言いたい。だってそれは一歩ずつ、、一歩ずつ、歩いてきた証だから。

 もう誰かにこの生き方をどういこう言われる筋合いなんて、ない。僕は僕なりの生き方をみつけたんだから。

 少し普通から外れた生き方だからって、みんなと少し違うからって、そんなものはもう、関係ない。

 強い風に吹かれていた。

 僕はもうそれで折れたりなんてしない。

 細くて、か細い灯りだけど、僕はもう誰かの一方的な常識で自分の意志を変えたり、あゆみをとめたりなんて、絶対にしない。

 今改めて今の僕が過去の僕に語り掛けるとするなら、いろいろあった人生だったけれど、こういうだろう。

「お前のやってきたことは間違いなんかじゃない」

 僕はそう、自分に自分で言い聞かせる。

 後悔のない人生にしたいからって、だからって間違いを恐れて徒然なにもできないままで部屋の片隅でうずくまっていたりするなんて、もうしたくない。

 この歩みの先には、歩みをとめないひとたちの先には、確かなものが、目指すべき理想の自分の姿が、この目にはっきりと映ると思うから――





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