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「かっわい!」
なにこれなにこれ! カップの上に立体のクマが乗っている! ふわっふわで真っ白なクマ! しかもめっちゃキュートだ! 前に見せてもらった時は平面だったのに! 何この技術っ!
「凄い、凄いですね! これ!」
「ありがとうございます。へへ、そう言ってもらえると頑張った甲斐がありますね」
「本当に凄いですよ。うわー、飲むの勿体ないな」
つい興奮してスマホで何枚も撮影する。あとで誰かに見せたい。
「ふふ、まだ商品化は一応してないんですけどね」
「一応?」
明らかにお金を取れるほどのものだとは思うけど、一応とな? どういうことかと思って熊谷さんを見ると、視線をついと外して頭を掻いた。
「その、一番初めに、は、彼女に飲んでほしいな、とか思っていて。あっ、でもその、まだ自信が、なくて。その、花菱さんにお出ししたのもえと、練習、って言ったら申し訳ないのですけれど、評価して頂きたいってこともあって、だから、えっと、その」
挙動不審に一気に捲し立てた後、目が合った表情は本当に不安げで。ガッチリとした体が小さく見えた。
「大丈夫、とっても美味しいし、可愛いですから。きっと彼女も喜ぶと思いますよ」
熊谷さんの片思いの相手。カフェラテ好きなその子ならきっと目を輝かせて喜ぶに違いない。だって他のお客様がこっちを羨ましそうに見ているもの。
「・・・良かったぁ。花菱さんに合格を頂けたら大丈夫ですね」
「いや、俺どんな立場なのっ」
「バーテンダーさんのセンスは素敵ですから」
ちょっと、そんなに煽てないでよ。
「今度彼女が来店したら、出してみますね」
安心しきった表情でそう言う熊谷さんはなんだか本当にクマみたいで。テディベアと言うかなんというか、大きい図体なのに可愛らしくて。
「頑張って」
今度報告が聞けるのが本当に楽しみだ。
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