第9話 vs 童顔×母

「好美ー!ちょっと出てくれるー!」

「はーい」


今日はお母さんの仕事が休み。そんな日くらいゆっくりすればいいのに、働き者というか、家の片づけで動きまわっている。そんなに散らかってないんだけどね。お母さんの代わりに、私は今鳴ったチャイムの応えて玄関に出る。


「どちらさ・・・」

「やぁ、堤さん!」

バターン!!私は即座に扉を閉める。

「ちょ、堤さん!?」

ドンドンと玄関の扉を叩く彼。まぁ確かにね、会った途端に扉を閉めるなんて私の方が非常識だとは思うんだけどね・・・。

「開けてよ!まだ何もしてないのに!」

そうだけどさ・・・。面倒事は事前に防ぐに越したことはないんだよな・・・。

「・・・何しに来たの」

私はちょっとだけ扉を開けて確認する。

「そんなに警戒しないでよ。ただ堤さんに会いに来ただけだって!」

「・・・私じゃない方の、堤でしょ・・・」

「そう!お母さんに会わせてくれない?」


熟女・人妻好きな童顔、時辰敏馬。


「えーとね、悪いけど今日お母さんは仕事だから・・・」

「下手な嘘は止めなって。ちゃんと仕事が休みな日を狙ってきてるから!」

「・・・堤家の事情を把握するなよ・・・」

大体ね、ただ普通に会うだけなら私もこんなに警戒しないけどさ、彼、私のお母さんにスク水やらポリスやらコスプレしてもらいたい、とかとんでもないこと言ってるんだよね・・・。歳喰った母にそんな恰好されちゃあ私がトラウマだっての。

「・・・どうせ、ただ会うだけ、で終わる気はないんでしょ・・・」

ここは何としても、私が侵入を阻止しないと・・・。

「好美?誰が来たの?」

「あ、ちょっ・・・」

「こんにちは!」

私が抑えていた扉なんてなんのその、ぶんと力で振りほどいて時辰くんは簡単に家に入る。お母さん、出てこなくて良かったのに・・・。

「僕、好美さんの友達の時辰と申します!実はちょっと堤さんのお母様に用がありまして・・・。お母様はいらっしゃいますか?」

「へぇ、好美のお友達!いつも世話になってるね。アタシが好美の母だよ」

「え・・・?」

「ん?どうした?」

「あなたがお母様ですか?何てお若い・・・!好美さんのお姉さんかと思いました!」

「いや白々しいから!」

確かにお母さんは若く見えるけど、それでも姉ってほどじゃないし!

「まぁ!」

「まぁ、じゃないから!お母さんもなにこんな古典的な世辞にひっかかってんの!?」

「とにかく上がりなさいな。暑かったでしょう?」

「では、失礼します!」

「ったく・・・」

お母さんの心をがっつり掴んじゃって・・・。容易に侵入を許しちゃったよ・・・。


「飲み物は何がいい?」

「あ、すいません。でしたら、お母様の汗・・・」

「シャラップ!」

「もごっ・・・」

私はこの変態の口を反射的にふさぐ。

「え、何て?」

「何でもいいって!適当に出して!」

「あ、そうなの」

お母さんが飲み物を用意しに台所に戻る。

「気持ち悪すぎる!!ホント何言ってんの!?」

「今日暑いし、いい感じに汗ばんでたから・・・」

「だからって飲み物のチョイスに老廃物を選ぶな!実母の汗をクラスメイトが舐めるってどんな地獄絵図だ!」

「心配しないで!僕は義理モノじゃなくてもオッケーだから!」

「そういうこと言ってんじゃないよ!」


「・・・で?アタシに用って何?」

飲み物を出し終わり、お母さんが時辰くんに尋ねる。

「では、単刀直入に・・・。お願いします!スクール水着を着てください!」

「駄目に決まってるでしょ!」

案の定の願いだし・・・。

「堤さんじゃなくて、僕はお母さんの意思を・・・」

「お母さんに聞いても一緒だから!冷静に考えてよ!今日会ったばかりの青年にスク水着てくれなんて言われて認めるわけないでしょ?ね、お母さん!」

「いいよ」

「良くないわ!!」

空気読めよ!

「歳いくつだと思ってんの、アンタ!JKとは程遠いでしょうが!」

「いやね、アタシも旦那によくコスプレ着せられてたから、懐かしくなっちゃって」

「聞きたくないよ、そんな親のプレイ事情なんざ!」

「それに好美。アタシのことを案じてくれているなら・・・」

「案じてない、一切!完全に私利私欲の為の阻止だから!」

実の母のコスプレなんざ見るに堪えないわ!

「とにかく!私の目が黒い内は絶対にコスプレなんてさせないからね!」

「「えー・・・」」

「二人してがっかりすんな!」

特にわが母!!

「・・・むぅ、だったらせめて・・・。このスク水で僕を引っぱたいてくれませんか?」

「せめてがせめてじゃないんだよ!!」

ウチのクラスメイトは!

「正常な使い方しろ!メーカーの想定していない使い方しすぎなんだよ、いろいろと!!」

「お願いです!あの好美さんのお母様ですから、きっと凄い実力なはずなんです!」

「・・・『あの』?」

「ちょ、言うに事欠いて・・・」

「どういうこと?」

「堤さん、学校じゃあ男女関係なく蹂躙してるんですよ?持前のテクで」

「違うからー!!そんなつもりまるで無いから!!」

「そうなの?好美」

「う・・・」

お母さんはきりっと私を見る。

「私が率先してやってるわけじゃ・・・」

「やるわね・・・」

「褒めちゃったよ!!怒れよ、そこは!」

「あなたが自分から暴力を振るう子じゃないってのは知ってるから」

「・・・む。お母さん・・・」

ちょっと照れくさいけど・・・。嬉し・・・。

「さぁ、ぶったたいてください!」

「雰囲気ぶち壊しか!!」

こちとら少し感動に浸ろうとしてんだよ!四つんばいになってるし、いつの間にか上半身脱いでるし!!

「・・・もういいや。何かムカついたし、どうせこのままじゃ帰らないだろうし、一発ぶっぱなして、お母さん」

「おお、娘さんの許可も出ましたし、ここは一つ!」

「ちょっと待ってて」

お母さんは水着を持って台所に向かう。

「うわー、放置プレイだよ、堤さん!流石堤さんのお母さん・・・!」

「もう黙れよ・・・」

どんなことでも喜べるのね、こいつは・・・。

「はい、お待たせ」

「それって・・・」

お母さんの手には、水でびっしょりと濡らされた水着があった。

「いくわよ・・・」


* * *


「御見それしました!」

水で濡れて殺傷能力が上がったスク水に殴られて、お母さんに敬意を示し嬉しさマックスな時辰くん。すっごい満足して帰っていったし。異常だよ、私のクラスメイトが母にスクール水着でしばかれる、って。そして、まぁこれくらいで済んだから良かったって思ってる私も、もう感覚異常だろうよ・・・。

「お母さん・・・。なに、何十個も年下の子と楽しんでるわけ・・・?」

心なしか肌つやつやしてるし・・・。

「いやー、いいねぇ、若いっていうのは。アタシも若返った気分だよ。楽しかったしね」

「お父さんに言いつけるよ・・・」

多分、既婚者がホストに入れ込む感覚なんだろうな・・・。

「あ、それもいいかも。アタシがあの人以外の男性と遊んだ、って言ったらきっと嫉妬してくれて、独占欲にかられるかもだし」

「・・・?」

「最近ご無沙汰だし・・・。今日は久々に頑張るかな」

「・・・え。何の話してるわけ・・・?」


「ねぇ、好美。弟か妹欲しい?」

「いらねぇよ!!」


to be continued...

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