第6話 vs 活発系アスリート

「実はね、お願いがあるんだ」

「お願い・・・?」


出席番号27番、駿河小春。


「これは堤さんにしか頼めなくてね」

「私にしか・・・?」


バリバリの陸上部で、皆を引っ張るエースにして、一年生の時からの期待のホープらしい。種目は短距離走で、全身も健康的に日焼けしている。活発な性格で、分け隔てなく明るく接するから、男女問わずに人気がある。部活に一生懸命って感じで、頼みも何も、素人の私に運動系の彼女の手助けなんてないと思うけど。それと何故か呼び出されたのは放課後の体育倉庫だし。


「・・・あのさ、もし何かできるなら協力はするけど、何でここに来る必要があるの?」

「ああ、心配しないでいい。ここはなかなかに強固な作りで、外からは中で何をしているかは分からない。つまり、邪魔は入らない」

「・・・そういうことじゃないんだけど・・・」

邪魔が入らない、って、逆に心配だよ・・・。まぁ駿河さんは同性だし、体育倉庫イベント的なものは起きないでしょ。多分。

「それで?何をすればいいの?」


「頼む!この縄で思いっきり私を叩いてくれないか?」


「Mばっかりかよ!!」

「・・・M?」

「あ、ごめん、こっちのハナシ・・・」

なに・・・?加瀬くんといい、駿河さんといい、スポーツマンは体を酷使するから、そういう欲に目覚めるわけ・・・?

「ていうかこの縄、頑丈なロープじゃん・・・。絶対、痛いじゃ済まないって・・・」

「大丈夫だ!私は鍛えているから、それくらいの刺激じゃないと感じない!」

「・・・でもさ、何で私なの?人を叩くって、気持ちのいいものじゃないよ?」

「それは済まないと思う・・・。ただ、聞いて欲しい!実は堤さんはある人にそっくりなんだ!」

「・・・あー、ちょっと待って」

何かこの流れ前あったよね・・・。

「それ、どこかのセクシー女優とか言わないよね・・・?」

「むむ!?どうして分かったんだ?そうだ、一流ドS女優、ホノミにそっくりなんだ!」

「・・・誰だよ、ホノミって・・・」

何でこの人もAVにはまってるわけ・・・?

「正直に言うけどさ、そんなこと言ったら駿河さんのイメージだだ下がりだよ?」

「ああ、だからこそこの場所で頼んでるんだ。流石に公にはできないから。私も我慢していたんだが、自分の欲に素直になりたくなってな」

・・・そりゃ性欲を満たすことは大事とは思うけどさ、それに私を巻き込まないで欲しいんだよな・・・。

「とにかく、思いっきり引っぱたいてくれないか?一度でいいから!」

そう言って私の確認も得ずに、彼女は四つん這いになってお尻をこちらに向ける。部活終わりだったのかは知らないけど、ユニフォーム姿そのままの恰好は、体のラインがはっきりと出ていて、全身にかけて素晴らしいプロポーションだと感じる。

「・・・ただね、あくまで顔が似てるだけで、技術は全然だよ?」

「いや、きっと大丈夫だ!ポテンシャルは相当にある筈だから」

「何の根拠なわけ・・・?」


「はぁ、ちょっと待ってね・・・」

私は椅子に座り足を組んで考え事をする。何か最近、妙にみんなと絡むようになってきたなぁ・・・。みんなの知らない一面が見えるのは悪くないんだけど、逆に知らなきゃ良かったって思うことの方が多い気がするよ・・・。

「・・・はぁ、はぁ」

何でこうも私に絡んでくるかなぁ・・・。私も私で断らずに一応要求を聞こうとしちゃうし・・・。こういうときは、きちんと断れるサバサバした性格の方がいいと思うよね。

「・・・はぁ、んぁ・・・」

・・・ていうかなに、この荒い息遣い・・・。どこから聞こえてきて・・・。

「さ、流石だ・・・。躊躇なく、この私を椅子にするとは・・・」

「うわぁ!!」

私はばっと立ち上がる。

「ご、ごめん、全然気づかなくて・・・」

「まさかの、無自覚で私を悦ばせるとは・・・。やはり、かなりの逸材・・・」

「いや偶然だからたまたまだから不可抗力だから!!勝手に納得しないで!」

私も座り心地とかで分かるだろ・・・。しっかりしろよ・・・。


「と、とにかくだ・・・。いい感じに焦らされて私の体も火照ってきている・・・。一発、やってくれないか・・・」

「でも、万が一誰かに見られたら・・・」

隙間とかから。

「問題ない。私のイメージで、新しい筋トレだと思ってくれるさ・・・」

「そ、そなの・・・?」

これ、やってあげないと引かないなぁ、この人・・・。仕方ない・・・。

「一発だけだよ・・・?」

「ああ、思いっきり頼む」

「ふー」

私は深呼吸をして、集中した。

「はっっ!!!」

縄を振り下ろす際、私には一つの不安が去来していた・・・。


* * *


・・・凄い音がしたな、ばっちーんって。あれ大丈夫なのかな、折れてないよね・・・?

「~~~~~~~っっ!!」

もう声になって無くて悶絶しまくってたけど、顔は恍惚な顔してたね・・・。帰り際もつやつやしてたし。

「・・・ていうか・・・」

問題なのは駿河さんの方じゃなくて私なんじゃ・・・。私が抱いていた不安、それは、鞭打ちが嫌じゃなかったら、つまり、施しの後に快楽をもし覚えてしまったら、というものだった。


「・・・やば、どうしよっかな・・・」


to be continued...

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