ありえざるものかく語りき
世界のはじまりには、神しか
しかしその
(我々もまた、神のように在りたい)
神は答えました。
「それでは、私はすべての貴方たちのために、
それぞれが分かれて住む世界を創りましょう」
(いいえ、我々は、ひとつの世界で、愛し合いたい)
その幼き望みを、神は笑いませんでした。
「それでは、私は貴方たちのために、
限りない世界をひとつ創りましょう」
(いいえ、我々は、限りある世界で、助け合いたい)
その幼き望みを、神は笑いませんでした。
「限りある世界は、限りあるものを奪い合い、
争いの絶えない世界です。
私は貴方たちを、
(いいえ、我々は、みずからの力を試したい)
その幼き望みを、神は笑いませんでした。
「もし、限りあるひとつの世界に住んだのなら、
貴方たちは、奪い合い、争い、悩み、苦しみ、
すぐに私の声を聞く心さえ捨て去り、
やがて私を疑い、憎み、むやみに
なぜ我々を助けないのか、と問いかけるでしょう。
そして、神などいない、と思うようになるでしょう。
私はそうなる貴方たちを、永遠に、そして無限に、
助けたいのです」
(いいえ、我々は、決してそうならない。
だから、我々を決して助けないと、約束してほしい)
そのとき初めて、神はかすかに笑いました。
それは、無限の痛みをこらえる
「それでは、私は約束しましょう。
すべて貴方たちの求めるとおりにすることを」
神は、限りのある世界をひとつ創りました。
このとき、無から有を創る神の
神の
神の子である
そして、神の
人間たちは奪い合い、争い、苦しみ、
すぐに神の声を聞く心さえ捨て去り、
やがて神を疑い、憎み、むやみに
なぜ我々を助けないのか、と問いかけました。
そして、神などいない、と思うようになりました。
神を忘れた人間たちは、それでも、その
神がいないとしたら、いったん
それを
こうして、あの世と、あの世に類する存在が生まれたのです。
そこにいる
人間たちの創った「あの世」には、大きな欠点がありました。
それは、
そして、神はみっつの仕事を永遠に背負うことなりました。
ひとつめの仕事、それは、人の苦しむ
みっつめの仕事、それは、あの世から切り捨てられた存在を、ふたたびその
ふたつめの仕事については、神の
そう、私たちは貴方を、そのために招いたのです。
なぜなら、貴方は特別な存在なのですから。
あの世は変わり続けています。なぜなら、それを創りだす人間の
しかし、神はそれをただ良しとはしませんでした。
神が
神の意を得て、
もし貴方が、神の
もし貴方が、それを拒めば、貴方自身があの世を変える
さあ、それでは、お
最後の旅へ。
どこへ、と、お訊きになる?
いやいや、どうせなら、もっとカッコよく訊いてくださいよ。
「
カッコよく訊いていただけるなら、カッコよく答えることができるじゃありませんか、こんなふうに。
「ローマ。すべての道の、通じるところへと」
(悪魔メフィストフェレスの言葉より引用)
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