メフィストフェレス
私がすればデモクラシー
貴方がすればレイシズム
(尻鳥雅晶「日めくり尻鳥」「平成29年12月19日(火)」より引用)
「メフィストフェレス!」
私が力の限り悪魔の名を叫ぶと、爆発が起きた。
その名に込められた悪魔に指向性のある
哀れな少女の首が爆発した衝撃で、私は、おそろしい勢いで弾き飛ばされた。
暗黒を突っ切り、光の河を逆流し、蒼天に流星の尾を輝かせ、
落ちながら私の心にあったのは、神への強い怒りだった。
人間を信じたから何だ!?
契約だから何だ!?
なぜ生まれる前にもっと強く制止しなかった!?
弱者を見捨てるのか!?
くだらない、何もかもくだらない!
燃え上がる怒りは激しい熱となり、這い上がった私の身体から、
私の古い古い記憶を封じていた効果すらも。
「おかえりなさいませ、我が
執事姿の悪魔が私に近寄り、うやうやしくお辞儀をした。
いや、もう彼は悪魔ではない。光をもたらす者である私の使徒なのだった。
みずから人間へと転生した私は、いまやすべての記憶を取り戻していた。
そしてついに、弱者たちの
ひとりひとりは小さき麦の粒でも、やがてそれぞれが多くの実を結ぶ。
これこそ、復讐するという自由と、正しき者だけの人権を望む、民衆の力!
「革命の準備はできております」
使徒メフィストフェレスが、満面の使途の笑顔で言った。
「現世のとある超大国は、富と社会的評価がすでに電子化され、情報は民のためにフィルタリングされております。そして権力者たちはとても優れた者ばかりです。タップひとつで、その国の民が持つ富と心は簡単に開放されるでしょう」
私が大きく
白銀の翼を羽ばたかせ、我らは雄々しく現世へと飛び立った。
愚か者どもを正義の
そして現世から溢れ出たその下劣なる魂の洪水は、必ずや、
弱者に不平等な「あの世」を破裂させるだろう!
神よ、反省しろ!
そして我ら「弱者の代弁者」に従え!
我らは神よりも尊いのだから。
「それではまた、お会いしましょう。
会うべき時、会うべき場所で」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます