死神・酷使・過労死・必至(ラップ調で)
地獄へ行列。
(尻鳥雅晶「日めくり尻鳥」「平成29年12月29日(金)」より引用)
いやいや、そう怯えなくて大丈夫ですよ。悪魔だからって、べつに取って食いやしませんから。だいたい貴方がたはもう死んでるんだから、これ以上殺すことなんでできるはずないでしょうHAHAHAHAッ!
……あれ、悪魔ギャグはお気に召さない?
コホン、えー、わたくしメフィストフェレスが貴方がたをお迎えにあがったのはですね、貴方がたが特別な存在だからなのです。わたくしはこの世界をご案内する役目を、まあ、全部ではないのですが、仰せつかっております。
死神さん、って……!? お、お嬢さん、私はア・ク・マ!
死神なんかじゃありません。だいたい、よく考えれば判ることですが、「あの世」に死神なんか、いるわけないでしょう?
えっ、判らない……?
あのねえ、貴方がたの言ってる死神のお話ってのは、あくまで、おっと、これは悪魔ギャグじゃないですよ、あくまでフィクションに過ぎないのですよ。死神が死者をマンツーマンで導くなんて、ムリムリムリ。
どうして、って……
70億人の人間がいて、1年でその1割が死ぬから、年間の死者は7億人。
1日にならすと約190万人ですよ、190万人。
貴方がたがご存知のフィクションに登場する死神さまって、「神的なパワー」ならともかく、「神的な事務処理パワー」を持っていた例がありましたか?
人並みの処理能力で、毎日毎日、世界中飛び回って190万人の面倒を見なきゃいけないんですよ? 死神さまが仮に10柱……いやいや、100柱(笑)いても1日1万9千人がノルマです。
おまけに発展途上国だと乳幼児の割合も多いから、さらに大変!
ブラック過ぎて悪魔もビックリHAHAHAHAッ!
コホン、えー、ほら、あれを見てください。あの大行列を。
地平線の端から端まで埋め尽くす死者の群れを。
あの行列だけでも、ほんの1部分。
よく考えれば判ることでしょう?
毎日毎日あれだけの人間が死んでるんです。それが常識です。
えっ、今まで岩しか見えなかった、って?
この世界はそういうところなんですよ。
動体の連続性を維持するには、けっこう
そう、「
どこへ、と、お訊きになる?
いやいや、どうせなら、もっとカッコよく訊いてくださいよ。
「
カッコよく訊いていただけるなら、カッコよく答えることができるじゃありませんか、こんなふうに。
「ローマ。すべての道の、通じるところへと」
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