7#青い風船が割れた
「友達って・・・お前の友達がフッドを殺ったんだ!友達だろ・・・!さては、お前もグルだったんだな!!返せ!!俺のフッドを返せ!!」
父コブハクチョウのユジロウは、息子のフッドを襲ったオオワシが友達だと発言したタンチョウのリサに、鬼のような形相で怒り狂い、激しく嘴で突っつき、翼で叩き、頑強は鰭脚で蹴りまくり、攻撃しまくった。
「痛い!!痛い!!あたしが!!いったい!!何を!!したのよ!!!」
タンチョウのリサは悲鳴をあげた。
「やめて!!ユジロウさん!!彼女はあのオオワシと友達だっただけでしょ!!別に彼女は・・・」
母ハクチョウのチエミは、我を忘れて怒り狂うユジロウを必死になだめていた途中、
「ああっ!!風船だ!!」
フラミンゴはいきなり声をあげた。
「ふ・・・風船だと!?」
ユジロウが先にフラミンゴの言うことに反応した。
ユジロウに恨まれて、執拗に攻撃されていたタンチョウのリサはなにが何だか分からなかったが、命拾いしたどころか、風船と聞いて興奮した。
「フラミンゴさん!!風船ってあの大きな青い風船のことでしょ!?どこ?どこ?ねえ!!どこ?」
母ハクチョウのチエミまで、青い風船と聞いてはしゃいだ。
「風船!風船!やっと見つかったの!?」
チエミの子供のハクチョウも、
「ふうせーん!!ふうせーん!!風船はどこにあるの?やーい風船やーい!!」
と大騒ぎした。
「あっ!!あったけど・・・なにこれ!?
」
ユジロウは、その大きな青い風船・・・いや、更に大きく膨らみ、しっかり結わえた吹き口の付け根までまるで洋梨のようにパンパンに膨らんでいた。
「これは・・・気圧が上昇してるんだ・・・!まさか・・・俺達は、高い高度で飛んでいるに違いない。」
「ええっ~!」
「まさか!!嘘でしょ!!」
「うわーい!!高い高い!」
「何言ってるのよ!!スウ!!バランス崩して墜落したら、命がいくつあっても足りないわ!!」
コハクチョウ母娘は、この事実に動揺が隠せなかった。
「みんな・・・気を付けて羽ばたけよ・・・気の緩みが命取りだぞ・・・!うっ・・・空気が薄い!!・・・」
ユジロウは、必死に息をしながらみんなに声をかけた。
「あ・・・あたしも・・・ですか?」
ユジロウ執拗に攻撃され、怖じけづいているタンチョウのリサは身を震わせておどおどした目線で言った。
「お前はいい!」ユジロウは捨て台詞を吐いた。
バシッ!
その時、ピンクの大きな翼がユジロウの顔を叩いた。
「うわあっ!!な・・・なんだ・・・てめえは!!」
叩いたのは、青い風船を見つけたあのフラミンゴだった。
「この娘だってな・・・!この娘だってな・・・!」
フラミンゴは、薄い空気の中息を絶え絶えに声を荒げ怒りを震わせて言った。
「お前も・・・こいつの方・・・を持つつもりか!」
「そんな・・・つもりじゃ・・・ねぇ・・・!」
「やめて・・・!もう・・・ふたりとも・・・!あたしのために・・・!!!」
タンチョウのリサは涙声を必死に張り上げた。
「こんないざこざしてる場合じゃ・・・あの風船が何だか変だよ!!今さっきよりピチピチに・・・それに、しゅーっ!!空気が漏れるって音がするし ・・・」
顔を青ざめている母ハクチョウのチエミは、3羽の中に入りこんで必死に叫んだ。
「ぬぁにぃ!!!!」
ユジロウは、更に大きくこれ以上もう膨らまない位大きくなった、青い風船を見上げた瞬間・・・
ばぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!!!!!!!
青い風船は、とてつもないデっカイ音をたてて支離滅裂に破裂した。
「うわああぁぁぁぁぁぁー!!!!」
風船の割れる音にビックリ仰天したハクチョウ達は気絶して、そのまま真っ逆さまに真下へと墜落していった。
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