6#オオワシの襲撃
「ふう・・・助かった。ありがとー!!タンチョウさん!!フラミンゴさん!!」
「いやいやどういたしまして!!」
いつの間にか、暴風雨の雲は通りすぎていった。
雨風に晒された翼は重くなったが、もう大丈夫だった。
ハクチョウ達は、また青い大きな風船を追いかけに飛んでいた。
が・・・
「あれ!?一羽足りない・・・」
「フッド?フッドがいない!?」
「ええっ!?」
「またあの野郎・・・」
「ユジロウさん!!」「何でも無いです!!」
「ああっ!!あそこ!!」「ええっ!?」
フッドは、見知らぬ奴に空中で襲われていたのだ。
「嫌ああつ!!」
「フッドちゃああああん!!」
フッドは、一羽の大きなオオワシに執拗に追いかけられていたのだ。
「こいつ、僕をターゲットにしてやがる・・・何で?!僕はこんなことしていられないのに!みんなは?父さん!た・・・助けて・・・・!」
「フッド!!俺は助けない!!」
「ええっ!?」
フッドの父ハクチョウのユジロウが俯いて、いきなりつれない返事をしたことに、みんなは騒然とした。
「これはお前が巻いた種だ!!自己責任って言葉を知ってるかい!?こういうことになったのは、お前がみんなの不安を無視して、暴風雨の中にどんどん風船を追いかけていった因果応報だ…!悔しかったら、お前の力だけで切り抜けてみろ!!いつまでも親を頼るな!!」
「ユジロウさん!!あなたってハクチョウは・・・・・」
チエミは、余りにも子供に厳しすぎるユジロウにくってかかった。
「やめて!!母さん!!」訴えたのは、フッドと共に暴風雨の中を飛んだ子供ハクチョウのミキたった。
「わたしはね、フッドを追いかけてと共に暴風雨の中にどんどん追いかけたわ!!でもね、フッドは・・・フッドは・・・ごめんなさい!!母さん!!わたしやっぱりフッドを助けてに行くわ!!」
「ミキ!!」「ミキちゃん!!」
「ミキちゃんまであのであいつに襲われることはないのよ!!何考えてんの!!」
ミキは、姉妹ハクチョウやチエミの静止を振り切って、オオワシに襲われるフッドのそばへ向かっていった。
「フッドさぁああああん!!」
「くっ・・・来るな!!お前まで命を落としたらどうなる!!これは僕のけじめだ!!」
「でも、今『父さん!!』って助けを・・・」
「ほっといてくれ!!・・・僕は父さんの気持ちが分かったんだ!!僕がどんなに我が儘だったことを・・・!」
「フッドさぁああああん~~!!」ミキは、悲嘆して湧き出る大粒の涙を懸命に羽ばたかさせる翼に架かる位に大声で泣き喚いた。
「ちくしょう!!あいつ、何で僕の割れた風船の付いた左脚を狙うんだ!?」
その瞬間・・・
バシッ!!
オオワシの鋭い爪の付いた頑強な脚が、コブハクチョウのフッドの胸を襲った。
「フッドさぁああああん!!」
ミキは悲鳴を挙げた。
「フッドおおおお!!」
父ハクチョウのユジロウは、顔を青ざめた。
「フッドさんが・・・死んじゃった・・・ま、自業自得だわ!!」
姉妹ハクチョウのスウはつれない発言に、姉ハクチョウのランが、
「何言ってんの!!この言葉訂正しなさい!」
と、激怒した。
突然、姉妹ハクチョウのランとスウは空中で取っ組みあいの喧嘩を始めた。
「ラン!ミキ!こんなところで喧嘩は止めなさい!!隊列が乱れるどころか、目的地の湖に着くまえに怪我したらどうなるの!」
母ハクチョウのチエミは、声を張上げて注意した。
「やめて!!ふたりとも!!喧嘩したって、フッドさんは・・・」
ミキは激しく取り乱し、金切り声で泣きわめいた。
「ミキ!!ミキ!!もういいよ!!ミキ!!しっかりしてミキ!!」
母ハクチョウのチエミは、行方不明になったフッドに取り乱している3姉妹に反応してチエミまで泣き声でわめいた。
「うるさいお前ら!!黙れ!!甘ったれるな!!」
取り乱すコハクチョウ家族に父コブハクチョウのユジロウは、大声で怒鳴った。
「俺だってな・・・俺だってな・・・フッドの馬鹿息子はいづれこうなる運命だったんだよ・・・いつもいつもいつもいつも俺の言うことを聞かないで、自分勝手で・・・ちくしょう・・・ちくしょう・・・フッド・・・フッド・・・!」
ユジロウは翼の付け根を震わせ、息子のフッドを救えなかった悔し涙を滲ませた。
「ああっ!!」
ハクチョウ達の後ろで、フラミンゴとランダム飛行をしていた、タンチョウのリサは叫んだ。
「な、なんだぁ!?」
「あの息子のフッドを襲ったオオワシは、あたしの友達のリックだ!何でこんなところで飛んでいるんだ!?あたしと同じ北にいなきゃいけないのに・・・!」
「と、友達だと!?」
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