記憶

89ことヤクバ視点


「予言者」と呼ばれるその人を見たことがある気がした……真っ白い服を着て優しい笑顔を向けていた気がする………でもその人は人間で黒い服を身に纏っていた



奴隷「「予言者」に触られたあのルーウェイってやつ最高額で買われたな」


と奴隷の少年が言った………


89 でも明らか人ではない人に買われていたが……


しかし最高額で買われたのは事実


商人「89 出番だ」


そして最後の1人である89が呼ばれ競りが始まる


客「20!」


客「35!」


89 超能力者ってだけで値段が跳ね上がるな……


そんなことを思っていると賑わう市場で誰よりも響く声が……


???「3000!!!!」


客「なっ」


89「え?」


89 3000って値段で考えたら3億だぞ!?


響いた声は89の最高額を言っており言った本人が歩いてくる


商人「予言者様」


89の最高額を叫んだのは誰でもない89の最高額を変更させた「予言者」だった


???「最高額を言った以上俺が買い取る それに文句は?」


客「いいえ」


???「こい」


かなり一方的にお金を渡した予言者は89の腕を引き歩いていく


???「ウェルーシャ」


少し歩くと仲間と合流したのか「ウェルーシャ」と呼ばれた青年が89の格好を見て「うわっ」と言う


ウェルーシャ「なぁレイガーシュ」


レイガーシュ「言いたいことは分かる だから服屋来たんだろ」


気が付かぬ内に付いていた服屋に89はレイガーシュと呼ばれた青年に連行され服を選ばされる


ウェルーシャ「センスないな」


全く服のことが分からない89にウェルーシャがそう言い出し、扉近くで待機していたレイガーシュを呼んで89の服を選ぶ


89「えっと………」


レイガーシュ「お前名前は?」


89「89です………」


レイガーシュ「それは番号であって名前じゃない」


服を選びながらちょくちょく89を見るレイガーシュに質問されたが怒られた89


レイガーシュ「名前 ないのか?」


89「………はい」


レイガーシュ「そう なら………ヤクバだ」


レイガーシュが89………ヤクバに名前を与えると同時に服を選び終えたので着てもらう


ヤクバ「…………」


レイガーシュ「まぁ気に入る気に入らないは別だがな」


レイガーシュの選んだ服は(フルコーデ)12歳のヤクバには余りにも高価な上センスの良さが際立つ


ヤクバ「センスが凄くいいんですね」


レイガーシュ「そうか?」


ウェルーシャ「因みに俺も服選んでもらってる」


レイガーシュは自覚をしていないだけでかなりのセンスの良さでウェルーシャからもお墨付き


レイガーシュ「他にも着てもらって気に入ったなら会計済ます」


と言ってレイガーシュは他にも選んだ服を(フルコーデ)着てもらい、自分の納得のいく仕上がりでヤクバが気に入ったら迷わずカゴに入れていく


ウェルーシャ「幾ら?」


結局ヤクバが気に入った服の会計をするとヤクバの予想通りの巨額になり、ヤクバはどうしたらいいか分からなくなったがレイガーシュは慣れているのか普通に即金で払う


ヤクバ「即金!!??」


ウェルーシャ「レイガーシュってカードとか持ってないんだよ いつも即金」


ヤクバ「えええええ」


ヤクバ 「いつも」ってことはどれだけお金持ってるの!?


最早ツッコミどころしかないレイガーシュとツッコミをしまくるヤクバ


ウェルーシャ「レイガーシュにツッコミ入れてたらキリないぞ」


ヤクバ「……もしかして最初の方ツッコミしてました?」


ウェルーシャ「キリがなさすぎて諦めた ってレイガーシュまだ買い物あるのか?」


レイガーシュ「当たり前だ 服のあとは靴」


会計を済ませ歩き出したレイガーシュの後を追いつつ2人はツッコミどころ満載すぎて疲れる


レイガーシュ「靴は服に合わせてブーツが良いな ヒールはいるか?」


ヤクバ「まだ慣れてないのでないやつで………」


レイガーシュ「了解 ちょっと履いてみてくれ」


相変わらずのレイガーシュのセンスの良さでツッコミが絶えず、ウェルーシャは最早自分の靴を選び始めてしまう始末


ウェルーシャ「レイガーシュ お前そろそろ新しいブーツ買ったらどうだ?もうそのブーツ5年履いてるだろ?ヒールの部分削れて低くなってる」


レイガーシュ「それもそうだな………ヤクバ お前これでいいのか?」


ヤクバ「はい」


レイガーシュ「ちょっと待っててくれ」


ヤクバの靴を選び終えたレイガーシュは自分の靴を選びつつ好みのを探す


???『』


不意にヤクバの脳裏に蘇った言葉………ヤクバは無意識にレイガーシュを抱きしめ突然と事にレイガーシュが驚く


レイガーシュ「ヤクバ?」


ヤクバ「「ミーシャ」という方をご存じですか?」


レイガーシュ「………知らないな」


ヤクバ「俺前世の記憶があるんです 前世は天使で「ミーシャ」という方に護られてこの世に転生したんです………その方は「大天使」と呼ばれていてとても強かった………貴方はその方に似ている」


ヤクバはその時気がついていなかった………レイガーシュが言葉を紡ごうとしてそれをせずにきつく唇を噛んでいたことを………


レイガーシュ「…………」


靴を選んだ後も買い物をしたレイガーシュ達は夜中に家に帰宅しウェルーシャが食事を作る


レイガーシュ「…………」


その間レイガーシュは何も言わずにソファーに横たわり足を伸ばして頭を抱えていた


ウェルーシャ「レイガーシュ 大丈夫か?もしかして体調悪い?」


レイガーシュ「………頭いてぇ」


ウェルーシャ「無理しないで休んできたら?腹減った時用に軽く何か作っておくから」


レイガーシュ「悪い………」


ウェルーシャの言葉にレイガーシュは頭を抱えながら歩いていき階段を上る音が………


ウェルーシャ「俺の部屋は1階だけどレイガーシュの部屋は二階なんだ ヤクバの部屋は後から決めるから今日は俺の部屋ね」


とウェルーシャは説明し食事をしてお風呂に入ってから就寝


???『ルミハ お前を護る』


ルミハ?『!?ミーシャさんやめて!それをしたら………』


???『これしか天界とお前を護る術がない』


ヤクバの夢の中………「ミーシャ」と呼ばれた青年が誰よりも大きく白い翼を広げて片翼を、黒い服を着た者達が掴み思い切り引きちぎる……するとミーシャは痛みに耐えるように歯を食いしばり涙を流す………すると残っていた片翼は真っ黒に染まりそこで目が覚める


ヤクバ「!!!!」


ウェルーシャ「大丈夫か ヤクバ」


ヤクバが飛び起きた音で目が覚めたのか寝起きのトーンでベッドで眠っていたウェルーシャが聴く


ウェルーシャ「汗凄いぞ………風呂入るか」


ウェルーシャは寝起きでも活発に動けるのか汗の凄いヤクバを連れて一緒に風呂場へ


ウェルーシャ「………魘されてるな」


ふと風呂を終えて髪を乾かした後 ウェルーシャがそう言い出しヤクバも一緒に上へ


レイガーシュ「うぅ………ぐっ………はぁ……うぁあ」


苦しんでいるのかウェルーシャが部屋に入ってレイガーシュを起こしに行く


レイガーシュ「ウェルーシャ………?」


ヤクバ「魘されてました 大丈夫ですか?」


レイガーシュ「ヤクバ………すまん 心配かけた」


起こされて意識がはっきりしだしたらしくレイガーシュは部屋の風呂に入っていく


ウェルーシャ「たまに魘されるんだ ココ最近はなかったんだけど………」




レイガーシュは過去の記憶に囚われているのをその時まだ幼かったヤクバにはわからなかった……

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