舞台は2001年にとぶ。当時、陸軍学校を卒業したばかりの越川はアフガニスタンにいた。荒涼たる土漠の光景が若者の目にとびこんでくる。『不朽の自由』作戦。その作戦名とは裏腹に、自由とは些細なバランスで成り立つ、儚く朽ち易いものであると越川が悟るに至る皮肉な結果となることもしらずに、いまはただ佇んで――
作者からの返信
当時を振り返り、彼は独り呟いた。
「皮肉なものだな。あの時勝ち取ったはずの自由が、今は俺を雁字搦めにしているのだ……」
荒涼たる砂漠で砂塵にまみれながら装甲車に乗り込む日々。
人々に真の自由を、と意気揚々と駆け抜けたその轍に、果たして目指す自由は刻まれたのだろうか。
少なくとも今の俺には──
沈思する越川の手に握られた盗聴受信機が反応する。
彼はすぐさま受信音量を上げ、傍受を試みた。
ザザッ…瞳子さん、そろそろ⛆⛆てもいい?
ザザッ…礼隆君……お願い、もっと⛆⛆⛆してほし⛆⛆ザザッ…
皮肉なものだ、と彼は再び自嘲する。
抑圧から解放され自由を得たはずの俺が、愛欲という鎖に縛られ続けているのだから。
彼は口元に哀愁の笑みを残しつつ、エルメスのズボンのフロントジッパーにゆっくりと右手をかけた──
(第31話の佐月さんの応援コメントとコラボさせてみました!)
瞳子さんと越川さん、それぞれの決意がどう展開していくのか注目ですな ( ´∀`)
越川さんの「奪う」発言に男の決意みたいなものを感じましたが、どこまでも「二番目でいいんだね」という不甲斐なさも痼りに残ってしまうという、ひまわりさんの巧みな焦らし戦術。いいですね☆
作者からの返信
瞳子も越川さんも、とうとう重い腰を上げることになりました☆
「奪う」という言葉を使った越川さんは自分なりにはかなり思い切ったと思っていることでしょうが、二番手の哀愁は抜けませんでしたか(苦笑)
彼がどこまで頑張ってくれるかにクライマックスの面白さがかかっていると言っても過言ではないと期待しています(`・ω・´)✨
結局、太陽はいつまでも太陽であって、火星はいつまでも火星でしかないんだなと思わせるような、切なさの中にもそれぞれの役割がきちんと決まっているような感覚。ただ浮遊衛星瞳子の軌道によってはその役割がもしかしたら変わるような、もしくはより一層確固たる役目を担うような。そんな気がしてなりません! (要するに今の段階では何も解らないという(笑))
作者からの返信
そうですね、浮遊衛星が突然軌道を変えて火星に衝突し、高エネルギー粒子が衝突点の時空を歪めてブラックホールを発生させるかもしれません。
そうなると深い闇を飲み込んだブラックホールがいずれ太陽をも引き寄せるようになり、太陽系のみならず銀河系の中でもひときわ強大な(略)
(要するに、書いている私にもどう転んでいくのかわかりません!笑)
ラストに向かって綺麗な形(構成)に仕上がったのではないでしょうか。礼隆くんの反応としては、今さら過去に踏み込まれても困る(気持ちが揺らぐのが怖い)と思ったのか、あるいは、傷に自分自身が向き合うことになるのが怖いと思ったのか……。
奥行きが広い作品ですので、こうして深読みする楽しさもまた魅力の一つだなと思います(^-^)
越川さんの覚悟、一見したらしつこいように見えますが、このキャラクターだからこそ逆に重みがありますね。このさじ加減で向かうラストに期待が高まりました!
作者からの返信
そうですね。ラストに向かって、いよいよ山のフドウ……いえ、動かざること山のごとしの越川さんが動き出しました!
礼隆が話を逸らした理由は、塾長の推察されたことやその他諸々の思いが絡まっているのだと思います。人間が一つの行動をとるにも、様々な理由があったりしますから……。
そんな彼の心に瞳子が踏み込んでいくことによって何か変化が生まれるのか、その辺りを読者の皆様に納得していただけるように書ければいいなと思っています(*^_^*)
越川さん、しつこいですか? しつこいですよね(笑)
でも彼にはとことん頑張っていただかなければ絡ませた意味がありませんので(^-^;
瞳子さんも強くなりましたねー!
どんな風に礼隆との未来を勝ち取るのか、楽しみです!
作者からの返信
プラトニックラブに憧れるだけで主体性のない瞳子でしたが、礼隆への思いの強さを自覚していくことで、自分の意思というものが固まってきた気がします。
そこを汲み取っていただけて嬉しいです✨