二話

初島ういじまつぐみ、目がぱっちりしてて髪の毛はふわふわな1学年下の幼馴染みで小学校から高校まであいつが追いかけてくる形で一緒である。1年生でかわいい子がいるとクラスで話題になり、いまでは学校で知らない人のほうが少ない有名人だ。

なぜ彼女の紹介をしたかというと、昨日の放課後にさかのぼる…。





「お前佐藤春汰さとうしゅんただろ、ちょっと話したいんだけど!」


「僕⁉ いいけど、どうしたの?」


放課後、俺は友達の情報力に頼りに頼って隣のクラスの佐藤がバスケ部であることを突き止めた。HRが終わり帰りの支度をしている佐藤に話しかけようと俺は教室に入った。



「バスケ部に入りたいんだけど」


「えっ」


「佐藤バスケ部なんだろ? 初心者でも入れるかなぁ…?」


「なんで僕がバスケ部って」


それは、言いかけた時、扉から俺を呼ぶ声が聞こえた。


「おまえな~~」


ニヤニヤと笑いながらこっちを見てくるクラスメイト。

なんだ、最後まで言え。そう思いつつ扉に向かうとそいつの後ろには見慣れた顔があった、つぐみだ。


「志郎、なにしてんの?」


「ちょっと話してんの、待っててくんね?」


しょうがないなぁ、とつぐみ。かわいさは健在である。

つぐみは図書室で待ってると一言言い残し2年のフロアを去っていった。


「ごめんなぁ佐藤、それでバスケ部のことなんだけど…」


「………イ…だ…」


バスケ部の話しをしようと佐藤の方を向いたとき、佐藤はつぐみが去っていった扉をぼーっと見つめていた。

ぼそぼそと何かを言ったあと、前の席に座る黒髪のクラスメイトの背中をバシバシ叩いた。


「優馬くん、優馬君! 彼女いいんじゃない⁉」


急に佐藤の周りに花が咲いた、気がした。

佐藤は先ほどのおどおどした雰囲気ではなく、今は騒ぐ普通の男子高校生のテンションである。


「君、名前は⁉」


「石渡志郎だけど」


えっなになに、急にどうしたんだこいつ。

すこし嫌な予感を感じ体を後ろに引く。


「志郎君、バスケ部入りたいっていったよね」


「‼ 言ったな!」


「僕たち今部員が6人でさ、もう少しほしいんだよね!」


だから、彼女をマネージャーに誘ってくれたら入れてあげるよ。



優馬、と呼ばれた前の席の人物が哀れみの目で俺を見てきた気がした。

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