第12話
拓海くんが私から離れていく夢を見た
目を覚ますと私の手をしっかりと握ってベットに突っ伏せて眠る彼
良かった
いてくれてたんだね
長い睫毛にかかる前髪をそっと分けた
「ん?美桜、起きた?」
「おはよ。こんなところで寝たら、拓海くんまで風邪ひいちゃうよ」
彼の冷たい肩をさすった
「俺はそんなやわじゃないから、平気だよ。熱は?」
私のおでこに手を当てる
「まだ少しあるなぁ。何か食べるか?」
「いらない。喉…渇いた」
「そうだな。ちょっと待っとけ」
グラスにお水を持って来てくれたので、起き上がろうとしたけど、力が入らない
「そのままでいいよ。飲ませてやるから」
水を口に含んだ彼の舌が私の唇を割って入ってくると冷たい水が流れ込む
頬の火照りが熱の熱さなのか、わからない
弱ってるからかな
今日は彼に甘えたくなった
「拓海くん…もっと、欲しい」
「今日は可愛いこと言うねぇ。
欲しいのは水?それとも俺?」
「……拓海…くん」
「了解」
私の横に寝転んで腕を伸ばしてくれた
「おいで」
「うん」
拓海くんの腕枕
胸に顔を埋めた
「拓海くんの匂い、安心する」
優しく髪を撫でながら、彼は鼻で大きく息を吸った
「俺も。美桜を抱きしめてると落ち着く」
「美桜さぁ、俺の店に初めて来た時、あのソファですっげぇ、泣いたじゃん?」
「もう言わないで」
「あの時、俺はお前のこと守ってやりたいと思ったんだ」
「あの時に?」
「そっ。
美桜、俺はさ、どんなことがあってもお前の側を離れないよ
ずっとここにいていいんだからな」
「拓海くん、
ありがとう……大好き」
美桜に何があるか……わからない
こんなか細い身体で一人で抱え込むな
お前が持ってる荷物を俺が持ってやるから
美桜の熱い身体を抱きしめた
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