第11話

美桜のクルクルと変わる表情を見てると幸せだなぁと思えた


でも、何だろ


物足りない


まだ、美桜を抱いてなかった


そろそろ限界



キスする度にこのまま…と思うけど、うまくはぐらかされて、結局…


だっせぇなぁ、俺




今朝、美桜からlineがあった


『今日はお休みだから、迎えに来てくれなくてもいいから』って



何か気になって電話してみたけど……

出ない


美桜の家の前まで行ってもう一度電話してみたけど繋がらない


すぐにlineがきた


『ごめん、風邪ひいてるから、寝てた』


『大丈夫か?もう家の前まで来てるから、とりあえず開けてよ』


『風邪うつるから』


『いいから、開けて』


『わかった』



美桜は熱が高く、かなり具合が悪そうだった


「どうして、言わないんだよ」


「大丈夫だから」


しゃべるのも辛そうで見てられない


「美桜、病院行こう」


「いい」


「行かないと治らないから、なっ」


「いいって。行か…ない」


「こんな時に我儘言うなよ」



美桜を抱き上げようとする手を止められた



「お願い、ほんとに…大丈…夫だから」



彼女がどうして病院に行くことを拒むのか?俺には見当もつかなかった



頭を冷やして、側にいることしか出来ない自分がもどかしかった



「ハァ、ハァ、たく…みくん、

たくみ…くん」



高熱にうなされて、俺の名前を呼ぶ彼女の手をしつかりと握った



「美桜?汗、すごいから着替えようか?」



意識が朦朧としてる彼女からの返事はない


仕方なく、着替えをクローゼットから探し出し、Tシャツの裾をゆっくり捲った



え?


お腹に傷痕が…



見てはいけないものを見てしまったようで、俺は慌てて、捲った裾をおろした




美桜、お前

何を隠してるんだ



俺に抱かれたくなかったのは、このせいか?



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