10.地図を作成する

 

 「地図の利点」

 架空世界の地図を作るとは、何事だ。そう思う方もあるでしょう。ただ何と言っても、この地図というツールは世界を把握するときにとっても便利なので、作成することを強く勧めます。


 一つ目の利点は、主人公たちの位置を把握することにより、ストーリーの展開を見通しやすくなるということです。次の目的地はここで、その次はここにしようというように、足取りが視覚的になってわかりやすいですし、主人公や登場人物の故郷を設定すれば、寒がりだったり、暑がりだったり、海を見たことが無かったりというキャラ付けにも役立ちます。

 また、言語という概念を考える上でも、地図は必要です。どの地域でどの言語が話されているかを決めておかないと、後々物語が矛盾だらけになってしまうでしょう。試しに語学研究(特に比較言語学)の本を見てみると、必ずといっていいほど地図が出てきます。これも、地図の必要性を示す事象です。


 二つ目は、それぞれの土地の特徴を押さえることが出来るという点です。この作品の最初の方で、私は「環境」についてお伝えしましたけれども、この「環境」を地図に割り当てて行けば、その土地の特徴がすぐに把握出来てしまうのです!

 また、後述する山脈や川などの地形も、世界(土地)を創る上で重要な要素であり、なおかつ特徴を考えるにはもってこいです。例えば四大文明はすべて川を中心として発達しましたし、山脈は文明を分かち、天候をも左右します。


 地図を作ることにより生じる利点、それは世界構築時に実感できる便利さに他なりません。ですから、このようにだらだらと書かれた駄文を読むよりは、早速地図の作成に取り掛かりましょう! 次は描き方についてです。



 「地図の描き方」

 開口一番、質問です。皆さんは「ファンタジー世界の地図を描く」という解説本があるのをご存知でしょうか? もし持っているのなら、そっとブラウザバックしてください。私は同書を読んだことがないので、想像と我流で解説を施していきます。それゆえ、専門書を読破した方にとっては見るに堪えないものとなってしまうでしょうから……。

 はい、では気を取り直して。まずは一旦順序を書いておきます。


①地図を描く前準備

②地形を書く

③川、山脈を書く

④内陸湖を書く

⑤平野、森など、「環境」を決める

⑥島を書く


①地図を描く前準備:個人的にはあまり必要ではないと思いますが、あえて言わせてもらうとしましたら「世界地図や日本地図でも何でもいいので、とにかく本物の地図を前もって見ておく」ということでしょうか。地図って、まじまじとみることはあまりないと思うんです。目的地と経路を確認できから、それでお役御免ですから。そうしてじっくりと見ていくと、地図、そして地形に関する理解が深まります。ああ、海岸線って、意外とギザギザなんだなあと、子供の頃の私は感動したものです。


②地形を書く:最初に“世界地図”を書くのか、それとも“ローカルな地図”を書くのかを決めておかないといけませんが、私はどちらも書くことを推奨します。舞台となる地方の地図はもちろん必要ですが、数作にわたって世界観を共有する場合は世界地図が必要不可欠となるでしょう。

 地形を考える上で注意してほしいのは、あまり巨大な大陸を作らないことです。熱交換が極端になるために、中央に大きな砂漠が……、あれ、そう言えば超大陸については、最初のほうにお伝えしていたんですっけ?


③川、山脈を書く:先述の通り、川と山脈は大切な要素ですから、早めに書き入れておきましょう。特に、川は貴重な水源ですから、主要なものを決めておくと、あとあとやりやすくなってきます。また、山脈が操作する天候について、もう少し詳しく説明すると、例えば東北地方は奥羽山脈の影響で、冬に豪雪が降る地域と降らないに分かれますし、山脈はまたフェーン現象(山頂から吹き降ろされる風の温度が上がっていく現象)などの原因にもなります。


④内陸湖を書く:川や雨を除くと、他には地下水や湖くらいからしか水を確保できません。湖については、水源の確保意外にも"幻想的な風景を作り出す"などの利点がありますので、少なくとも記しておいて損はありません。


⑤砂漠、森など、「環境」を決める:これについては、本格的に区分するとなると地図をもう一枚作成する必要が出てきます。お手本はネットで「世界 バイオーム」と画像検索すればいくらでも出てきますので、私からはこれ以上説明することはありません。


⑥島を書く:そこまで大きくない島を書く必要が無いのは言うまでもありませんが、精霊の島だったり、エルフが占領する島だったりと特徴的な島であれば明記しておきましょう。もしくは島の位置、や形状、大きさだけを決めておいて、のちのちストーリーに合わせてどのような島なのかを考えて言っても良いですね。


 ここに書かれている手順を踏めば、とりあえず創作に必要最低限の地図を描くことが出来ます。出来上がった地図は世界構築の相棒になってくれますが、それ以上に作っている最中がとっても楽しいので、時間があるときに是非とも試してみてください。



追記:

 皆さんは、「Inkarnate Worlds」というサイト(オンラインサービス)をご存知でしょうか?

 このサービスは、なんと無料で、しかもかなりファンタジー世界の地図を作成することが出来る優れものです! 使い方は簡単。まず上の語句を検索していただいて、サイトに訪れます。そのあとメールアドレスとパスワードを入力し、「Beta Sign up」をすれば地図の作成画面に行けます。

 

 地図作成の初期画面は一面の海です。そこから陸地を作り、山や森などの地形と町や廃墟などの建造物を作っていきます。これだけでも楽しいのですが、さらにドラゴンやクラーケンなどのアイコンを置けるばかりか、「テキスト」を生成出来たりもします。無駄な装飾の一切ない、ごつごつとして雰囲気あるフォントはより一層地図を作っているという意識を高めてくれます!


 ただですね、やはり無料よりはお金を払った方が良いわけで……、β版だからかもしれませんが、無料ユーザーだと些かマップの広さが物足りないんです。一か月で5ドルほど支払えば、二倍の大きさで楽しむことが出来るのですが。

 しかし二倍になってもなってなくても、マップは自由に拡大縮小が可能ですから、頑張れば無料でかなりの完成度の地図が出来上がるかと思います!

 いずれにしても、面白い体験ができますから、ぜひ一度お試しください。小説やTRPGの助けになること間違いなし、です!



(URL、貼っても良いのでしょうかね? 一応……→ https://inkarnate.com です。)

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