9.旅で一日に進む距離
ここ最近は数項にわたって、一般の小説作成にも役立つようなことを解説してきましたので、同項では久しぶりにファンタジー要素を濃くしてお送りいたします。
「徒歩と旅」
旅をする=冒険。そして冒険はファンタジーの必要条件でしょう!
ならば、冒険者が一日に歩く距離を定めておいた方が賢明です。ここでは人間がどのくらいの距離を歩くのかを考えていきます。
さて一般的に、人間の歩行速度は時速4~5kmだと言われています。これは調べればわかることですが、問題はここからです。一体人間は一日何時間歩くのでしょうか? 5時間? 10時間? いや、7時間かもしれません!?
自分で一日8時間歩いたことがある方ならば、この問題もすんなり解決するでしょうが、残念ながら私はそうではありません。
”徒歩旅行”と聞いて、皆さんは何を連想するでしょうか? 私は「膝栗毛」を思い出しました。ですので、ここは時代を江戸時代にさかのぼって参考を探しましょう。
国土交通省のページ、「東海道への誘い」のQ&A「旅について」には、こう書かれています。
…日本橋から保土ヶ谷宿までが八里九町(約33km)、戸塚宿までは十里半(約42km)です。ですから1日の行程はおよそ八里から十里強(約32~40km)といえそうです。
もちろんこれは成人男子の場合ですが、歩行速度を時速4kmとすると、単純計算で約8~10時間も歩くことになります。…
(出典:関東地方整備局 横浜国道事務所ホームページ:http://www.ktr.mlit.go.jp/yokohama/tokaido/02_tokaido/04_qa/index4/answer1.htm)
ということは、旅慣れした人間であれば“約8~10時間”歩けるということですね。実は私も個人的に情報を集めて予測していたのですが、こちらは“7~10時間”という結果が出ました(……え、幅が広すぎますか? 保険ですよ)。また、一日の歩行距離は“36km”という計算結果を弾き出しました。お、これは結構いい線いっていますね。
いやしかし、休憩や食事の時間を挟んで一日10時間とは……。江戸時代人は化け物ですか……?
しかしながら、これは“現実”に忠実な場合です。あなたの異世界住民が現実の人間よりもより多くのスタミナ・回復力を持っていたら、もっと早く目的地に着けるわけです。あくまでも一例としてお受け取り下さい。
「馬と旅」
旅をする=冒険。そして冒険に対して、「馬」は必要条件でしょう!
しかし……。おそらくこの作品で最も予測が難しいのがこの「馬は一日にどのくらいの距離を走るか」という問題です。
ネットで「馬 移動距離」と検索を書けても競馬情報しか出ませんし、図書館にも関連本がほとんど見つかりません!
ということで、いかに調べて分かったことを羅列します。
・四足歩行ゆえに、人間よりも多くのエネルギーを要する。そのため持久力は人間に劣る
・あまり急がず、共を連れ荷物を持った平均的な旅人が一日に進む距離:30~45km(馬に乗って)
・急いでいる騎手が一日に進む距離:50~60km
・馬には4~6日に一日“休息日”を取らせる
・馬の平均睡眠時間は三時間
・大人のサラブレッドだと一日に約10から15kg食べる上、水も20~40L飲む
・通常、一日の食事時間は10~20時間
・24時間で284km進んだ品種もいる(ロシア産の馬)
これは……、とてもまとめられる気がしません。また、食事や疲労の問題もせねばなりませんから、ただ馬の移動距離を調べても意味がなかったのですね。
とりあえず、もっとも参考になりそうな情報を載せておきます。
・時速6kmなら2時間歩いて30分休みを繰り返し、1日50~60km、調子がよければ80km程度進むこともある(この速度は毎日続けることが出来る)。
う~ん。まあでも目安にはなりますね。先ほども書いたように、これは“現実”の数値ですから、これと全く同じでなくても良いと思います。少し乱暴になりますが、あなたのファンタジー世界で、色々と馬を改造してしまっても良いのではないでしょうか!?
以下、出典です。
・『中世の旅』(N・オーラー)
・馬文化ひだか-ひだか博士の馬文化教室(http://www.hidaka.pref.hokkaido.lg.jp/ts/tss/umabunka/07-kyoushitsu/04-ichinichi/index.htm)
・その他、出典が定かではないネット情報
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