3.「常識」を捨てよ
「当たり前「や「当然」、それとは反対に「無理」や「ありえない」という言葉。ファンタジー世界を作成する際に、これらは禁句です。こちらの警告は、私が作品の一番初めの項に申し上げたものですが、覚えていらっしゃるでしょうか? なかなか触れる機会がなく、気付けばここまで温めておくことになったのでした。
この世界と一切関わりのない「純粋な異世界」を作ろうとお思いの方ならば、「拍手=賞賛の印」であることや、「愛を表すのに♡を使う」こと――いわゆる私たちが生活する文化は作中に反映させまい、と奮闘していることでしょう。前の項でたっぷりと文字を使って説明した時間単位の概念についても同じことが言えます。異世界では60進法が使われていないかもしれませんものね!
先の文章をみて、ぎくりとした方もいるかもしれません。もしかして……。
とはいえ、全ての文化的要素を自分で考えた新しいものに置き換える必要はありません。……ここまで引っ張っておいてこう言うのは何ではありますが。
私たちの世界でも、偶然の一致が無いなんて、その方がありえません。それ以前に、結局のところ文化を一から作るのか5から作るのかは製作者本人でありますから、ここで言うことが全てではありません。
すこしごちゃごちゃしてきましたので、言いたいことをまとめます。
つまりは「異世界や国を作るためにはこの世界の常識をすべて排除し、土台を作るのが先決。だが時として意図的に現実をモデルとするのは効率的」であるということです。
「引き際も肝腎」
先ほどは二つの矛盾するような忠告をしてしまいましたので、ここでは「引き際」が必要であることをお伝えします。
例として、私は自分の世界にオリジナルの言語――「ドラゴン語」や、「エルフ語」など――を導入しているのですが、ここで上の文章の前半部だけに盲従してみることにします。するとどのようなことが起こるか?
私ですらすぐに思いつくのは、日本人にとって身近な外国語である「英語」を使えないという制約が付きまとうということです。また、それ以上に、そもそも日本語による“言葉遊び”が通用しません。ダジャレなど、論外です。つまりは言語をも作成することによって、一部の日本語の言い回しすらも使えなくなる可能性があるのです。
ですから、この場合は少し柔軟になって、主人公たちの用いる言語=日本語(もしくは日本語に翻訳してある)と仮定し、自分の創作言語を異国の言語とします。そうすることで、文法や細かい語彙、さらに規則性などの作成を避けられます。さらにそれ以外の言語が登場した場合は、現実にある英語やフランス語をモデル(もしくはそのまま)として物語中に織り込んでいきましょう。
言語以外にも、人間の身体構造が違う――指が五本以上である――といった可能性も否めませんし、天体や山脈によって引き起こされる気候変動なんかはきちんと体系化された知識が必要です。これらもどこかで「引き際」を見つけていくのが現実的でしょう。
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