あなたの世界にスパイスを

九章:創作アドバイス

1.固有名詞 分類法Ⅰ

 

 「言語や地域で分ける」

 ①:アイゼナハ、ゼンマーダー、ハンブルク、ザルツギッター

 ②:イルクーツク、ヴラジヴォストーク、サハルノエ、ストレルカ

 ③:カセレス、ブロンチャレス、シフエンテス、タラゴーナ

 ①から③には、それぞれ四つの地名を国別にまとめてあります。ここで質問です。皆さんは、その「それぞれの国」を、名前の印象で当ててみてください。何となくこの国っぽいといった予想で良いので。


 では、一通りの答えは出揃いましたでしょうか? それでは正解発表です。

 ①:ドイツ語、②:ロシア、③:スペイン

 どうですか? 正解できたでしょうか? ①はスイスでも、②はウクライナでも、③はコスタリカやメキシコでもほぼ正解です(公用語が同じだったり、類似した言語だったりするため)。


 答え合わせも終わったところで、私がこのようなクイズを出題した理由を言いますと、それは皆さんに分類された固有名詞の重要性を伝えたいがためです。ハイファンタジー作品を見ていても、その多くは国や地域をまたいで地名や人名などの固有名詞を登場させていますが、ほとんどの作品の固有名詞に分別がありません(世界地図など、多くの固有名詞が登場している作品が対象)。読み進めていく分には問題ありませんが、連続するストーリーや全世界をマクロ視点で俯瞰した場合、やはり多少の違和感が生じます。ですから、もし時間があれば、作品の推敲とともに、固有名詞に一定の“まとまり”を与える作業をしてみてはいかがでしょうか。


 しかし、固有名詞に一定の“まとまり”を与えると言われても、具体的にどのようにすれば良いのかわからない、という意見もあると思いますので、ここに一例をあげておきます。お勧めなのは、先ずその地域の言語を定め、その言語のいくつかの語彙を作成、最後に地名や人名にそれを当てはめるというものです。

 ①のドイツの地名に「ハンブルク」がありますが、この“ブルク”は、ドイツ語で「城」という意味を持ちます。ザルツブルク(意味は「塩の山」とか「塩の城」という意味です)も同様です。また、ロシアの地名には○○ツクや○○スクと付くことが多いですが、これも偶然ではありません。もっとも簡潔な説明は、ロシア語で「市」を「ck(スク)」というから、でしょう。日本の「○○市」に当たります。

 また、言語ごとに母音と子音の割合を調整するのも効果的ですが、これは次回解説します。



 

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