5.職業

 

 「第一次産業」

 一般に、この産業は経済発展につれて就業人口数が少なくなっていく傾向にあります(ペティ・クラークの法則)。が、何を言われようと、第一次産業は生活の要です。日本では「農業・林業・漁業」がこれに分類されています。この三つについては特に解説は思いつきませんが、参考を書き記しておきます。


 中世ヨーロッパのイギリス、フランス、スウェーデン三国の平均第一次産業労働者率は71%となります。そしてヨーロッパが近代(ここでは1870年代)に入ると48%に下がります。

 驚いたのは、中世から近世、近代にかけて実在したと言われる「ヒル獲り」という職業。医療用のヒルを捕まえるお仕事なんだとか。



 「第二次産業」

 第二次産業も、第一次産業と共に人類がある程度の生活水準を保つためには必須です。定義は「自然から採取した資源の加工によって利潤を得る産業」となり、日本では「鉱業、採石業、砂利採取業、建設業、製造業」の五つがここに分類されます。結構大雑把な分類です。製造業なんか、いくらでも細分化できそうな気もしますが……。

 

 サーチ不足なのか、情報が少ないのかはわかりませんが、残念ながら中世ヨーロッパの第二次産業人口や割合は見つけることが出来ませんでした。その代わり、近代ヨーロッパ(1870年代)の第二次産業労働者率を見つけてきました。27%だそうです。第一次産業の71%から逆算すれば、単純に第二+三次産業は29%。そしてペティ・クラークの法則により、27%より低いということまではわかりますね。第三次産業の労働者人口がどのくらいかはわかりませんが、おそらくかなり少ないと思われます。

 第一次産業はその仕事柄、農村や森林部を離れることが出来ませんが、第二次産業になれば職場を持つ者も多くなります。ですから、同産業が発達するには都市部の発展が多少たりとも必要です。自然に生きる種族がいれば、彼らの生活に第二次産業はともかく、第三次産業の出現はまずないといっても過言ではないでしょう。



 「第三次産業」

 第三次産業は、目に見えない“サービス”を提供(生産)する産業です。サービス業というと接客や現在のIT関連の職種のイメージが強いですが、例えば金融業などは中世ヨーロッパ風ファンタジー世界にもしっくりくる職種の一つですね。テンプル騎士団が銀行の役割を担っていたことは多くの方が知る通りです。


 また、宿泊業も第三次産業に分類されます。こちらも「休息」と「身の安全」というサービスを提供していますから、納得です。

 調べていくと、どうやら第一次・二次産業に当てはまらなかったものを第三次産業と呼ぶという大雑把な説明もありまして……。しかしなるほど、吟遊詩人や調香師、代書人や森番など、分類がよくわからないような職業が、世界にはたくさんありますものね。



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