2.戦争
争いのない人間社会というのも、また何とも不気味なものです。ちょうど、ディストピアSFのような雰囲気がそこには感じられます。
「三批判書」でも有名なドイツのカントは、「戦争こそが自然な状態である」とまで言い切っています。
倫理的な面からも、戦争は好ましくないという風潮がありますが、それを理由にファンタジー世界から戦争を排除したら、その世界はどれほど退屈なものになるでしょう?
「戦争を”作る”にあたって必要なもの」
私が歴史を習っていたころ、担当の先生にこういわれた記憶があります。
「いいか、戦争はな、原因と結果が大切なんだ」
と。ですからその後、私は戦争の原因、結果、そして経過の三点を覚えて受験勉強をしていました。
しかし今になってみると、この三点は結局創作するにあたっても、最重要ポイントです。特に原因と結果を決めてしまえば、経過は決めておかずともその戦争の前後の設定が終わった後に改めて挿入すればいいのです。
「条約」
強国がそれよりも弱い国に不平等条約を押し付ける。我が国はどちらの立場も体験しているので、日本史を学べば不平等条約マスターに一歩近づけます!
……それはさておき、条約の中には平和を求める為の講和条約などもあり、ポジティヴなイメージも持ちあわせています。しかしそれにはきちんとした理由があると、私は考えます。
何故なら、条約とは相手の力を「認め」、結ぶものだからです。不平等条約も、一応の力を認めているからこそ成り立つものです。そうでなければ相手国をさっさと植民地にしているでしょう。
条約には複雑な両国関係(もしかしたら複数国もありえます)と、国の思惑と、領土の移動と……。など、さまざまな要素が入り混じるので、
「まだこの世界に入れるのは早いかも」
とお思いの方もいるかもしれませんが、迷ったら是非とも入れてみてください。というのも、条約にはとても簡素な物も存在しうるからです。
突然ですが、世界最古の講和条約は、いつ頃結ばれたと思います? 正解はなんと前13世紀ごろ! エジプトのラメセス2世とヒッタイトのムワタリ王が戦った「カデシュの戦い」の後、二国が婚姻関係を築いたことが最初の条約といわれます。たったこれだけです。お見合いしただけで条約、しかも「講和」なんて小難しそうな二文字もついてきます。もちろん、文明が進んで中世ヨーロッパくらいに国々が発展した場合、単に王子と王女の結婚だけでは済まないことが多々ありましたが(ハプスブルク家とか、政略結婚の数が尋常ではなく、甚だややこしいことになってますからね)。
はい、ですから、条約を物語に組み込む際には、それほど深く考えなくとも良い場合があります。もちろん時代を考慮して作成すべきですが、「国家間の駆け引き」を作品の主題にしていない限り、読み手も深入りはしないでしょう。
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