2.陸地

 陸地は、人間にとってなくてはならない要素の一つです。ファンタジー世界の構築において、特にこれといって明記しておくことはないのですが、一つだけ、注意が必要な個所があります。



 「超大陸」

 地球には二億年ほど前、超大陸パンゲアという一続きの大陸が出現したと考えられています。おそらくご存知の方も多いと思われますが、ファンタジー世界をこの超大陸にすると、多くの考察が必要になってきます。

 このパンゲア、現在の六大陸すべてが合わさった形でできたものなので、面積が途方もないことになっていました。するとどういったことが起きるかといいますと、まず一つ目に熱循環も大陸の規模に見合ったものになるので、極端な気候が発生するでしょう。ハリケーンや、砂漠、豪雨による広範囲の水害などは、現在の地球とは比べ物になりません。



 「塩」

 二つ目に浮上してくるのは、内陸部にける塩の貴重化です。この超大陸が複数の大陸の衝突から形成されたとしたら、塩湖や塩を含んだ岩から塩を採取することが可能となり、塩の希少性はそれほど上がらないでしょうが、もし最初から一つの大陸として誕生しているとしたら、どうでしょうか? おそらく経済があまり発達していない時代であれば、人間が中央部に住むことは不可能です。ある程度時代が進み、交易が開始されたとしても、塩をわざわざ超高額な価格で買うよりは、人々は海に近い場所に住むようになります。こうなっては種族の固有性が失われてしまいます。



 「遊牧民」

 三つ目に、そこは遊牧民族に圧倒的に有利な環境であるという点について説明します。

 ファンタジー世界は現実と一緒にする必要はありませんが、遊牧国家を発生させないことは難しいようにおもえます。というのも、非常に流動的な彼らが馬に乗る技術を得れば、魔法や火器を除いたときには「鬼に金棒」の強さを誇るのです。


 遊牧国家は主に三つの民によって構成されていて、それは遊牧民、オアシス民、そして旅商人です。遊牧民が政権と軍事権を、オアシス民が農耕を、旅商人が貿易を担い、役割分担することで効率が上がります。さらに彼らは仕事といってもそれが本来の生活に必要なことなので、不満もそれほど高まらないのです。

 というわけで、長くなりましたが――超大陸を作る際には危険がいっぱいです。一つ目と二つ目は大陸の規模を小さくすることである程度防げる内容ですが、三つ目はそうはいきません。彼らが昂るのが嫌であれば、中央に大陸を分断するような山脈を作るとよいでしょう。


まとめ:超大陸はむやみに作成しないこと。無暗に手を出すと痛い目しか見ない。もし作成する場合は上記の注意点を心に留めておくこと。

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