第3話(番外編)夢見る頃を過ぎてもなお
今日は、麻里子と二人で仕事帰りにスタバで女子会。麻里子って、本当に女子会好きな女。いつも、ヤリマン真弓と、小悪魔小春の悪口で始まって、途中位に麻里子のイケメンすぎる元カレの武勇伝ネタが始まり、正直あんまり羨ましく無いんだけど「いいなぁー」って、とりあえず言っとく。
それから、騙されやすい美咲の話が始まる。最近、婚活で知り合った宗教男にハマっている美咲。
美咲のフェイスブックやLINEのタイムラインは、全てポクポン教という宗教の宣伝記事ばかりになっている。
正直、興味ない人間からすれば迷惑極まりない記事なのに、立て続けに宗教記事で埋め尽くされるようになった。
美咲は、最近そんな訳でフェイスブックの友達からも外され、LINEもブロックされている。
しかし、私と麻里子は何処か情に脆い所もあり「仕方のない奴よね」って事で、友達外す事もブロックも出来ないでいる。
美咲と、麻里子と、恵子と私は高校時代モテナイ四天王と呼ばれていた。
特に、私と恵子のモテなさぶりは尋常のものではなく、麻里子は自分より格下の女の面倒見るのが好きなので私達は重宝されていた。
しかし、恵子はその後知らない間に全身整形とかしちゃってちょっとしたタレントになり、いつの間にか、誰もが羨む人気俳優と結婚したのである。
ここで、麻里子の恵子に対する批判は半端ないものへと変貌を遂げたのだ。
モテナイシスターズだった私達。結束力は、誰よりも強かったハズなのに!お前、何裏切ってんの?みたいな感じだった。
麻里子が嫌いな女というのは、
・整形
・ヤリマン
・小悪魔 (モテる)
・計算高い
・ぶりっ子
である。
ここに該当する女は、基本的に麻里子の中では価値が下がるのだ。
彼氏いない歴20年の麻里子は、身持ちの硬い女=いい女という認識がある。簡単にヤレそうな女、またはスグに股を開く女への評価は、凄く低いのだ。
そして、麻里子からは何度もそういう説法を言い聞かされ続けたのだ。
しかし、ヤリマンって事は一応、全くお誘いが無い人よりはお誘いあるって訳じゃないの?
いくら、出会い系サイトだろうと結婚相談所に登録していようと。とりあえず、その時点で行動力自体はあるんじゃね?とは、思う訳よ。
何もしないで、他の女の批判ばかりしていつまでも過去の栄光にしがみついて(高校時代、いくらイケメンと付き合っていたからって)あんたの股間の価値は、もう高校時代のソレとは違うのよ。
そして、私にもそれは当てはまる訳。これがさ、20年前なら某危険な業界とかだと、高値で買い取られるのかもしれないんだけどさ。
もう、誰にも見られる事もなく化石になりつつある私のアワビは、このまま役に立つことすらないまま、生理ごと終わってゆくのだろうか?
毎月毎月さぁ。女の子の日って、結構大変なんだよ。初日、二日目の睡眠時とか、本当地獄なんだから。夜用をセットしてるとはいえ、漏れないように直立不動の状態で寝てる私。このまま戦争起きたら、即敬礼とか余裕で出来る自信ある位。
もうね。ホント、直立不動。マッカーサーも、敬礼するレベルだと思う訳!横になって寝ると、横漏れしてる事とかあるから結構怖いのよ。
そういう思いも沢山経験してきたのは、全ては愛する人と出会って子供産む為なのに。
神様。どうして、私。35年間、彼氏出来ない訳?えっ、理想高いからだろオメェって?
それでもさ。やっぱり、最初の相手が「まぁ、こいつでいっか」みたいな相手だと、絶対後悔すると思うのよ。私!
真弓は、最初の相手がレイプだったのだ。元々は真面目なただのブスだったのに。高校時代、真弓の部屋に兄の不良仲間達が突然乱入して次から次へと犯されたと聞いた。
しかも、兄は不良仲間達から金を貰ったという屑中の屑なのだ。
「お前みたいなブス。誰もどうせ貰ってくれないんだから、有難く思えよ」
と、兄は捨て台詞を真弓に吐いたそうだ。
兄にとって、ブスな妹はコンブレックス以外の何物でもなく、普段は友達が来ると「ブス、部屋から出てくんな。」と言われていた。
しかし、兄の友達が面白がって賭け事しようぜと言い出したのだ。
兄も、「お前らが、あんなブスと寝れる訳ないだろ。辞めろ」と言ったが、
「金払うから、やらせろよ。」と言って聞かなくなり、真弓の部屋に強引に向かったそうだ。
この事件で頭がおかしくなった真弓は、
それから引きこもりになり、学校に少し来なくなった。
しかし、案外その時が快感だったのだろうか?今度は、援助交際にハマりだしたのだ。自分の事を段々大切に出来なくなった、真弓。
本当は、もっと周りがマトモだったらもっと自分の事を大切に出来たはず。
「誰かに抱かれていないと、死んでしまいそうになるの。
相手なんて、誰でもいい。
誰かが、私を必要としているとさえわかればいい」
と、口癖のように言う。
いつも、特定の彼は出来なかった。
本当に大切にされそうになると、途端に怖くなるそうだ。
「こんな私なんか・・こんな真面目に私を思ってくれるいい人なんて勿体無いよ・・」
と思って、折角の出会いを壊してしまう。
真弓にとっては、屑男に体の関係を求められている位が、心地良いのだ。残念ながら・・・。そして、この秘密を知っているのは。この女子会では、私だけだったのだ。麻里子は、何も知らずに真弓の事をボロカスに言う。
私は、真弓の傷を少し知っているからこそ。「まぁ、まぁ。」としか、言えない。トラウマは、人の人生を破壊する。残酷なものだ。
トラウマ抱える人ほど幸せになって欲しいと思う反面、何故かトラウマを強く抱える人ほど貧乏クジを引いてしまうのだ。幸せな人は、幸せになれるクジしか知らないのだ。
私は、これから先。どんなクジを引くのだろうか。
それとも、ひとつのクジすら引けぬまま。一生イケメン相手に妄想しつづけて、現実の恋が出来ないまま、こうしてずぅっと、麻里子の愚痴聞き続けるのだろうか・・。
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