第1話(番外編)夢見る頃を過ぎてもなお

(こちらのサイドストーリーは、「この胸に溢れんばかりのありったけの想いを」に登場する年也の元カノや小春が登場する数年後の物語です。)


「心開いても股開くな」と、女友達には何度も言われてきた。


「相手選びの妥協は、絶対してはダメよ。絶対。ただ、後悔するだけだから!」と、周囲に言い続けた女友達の麻里子は35歳になっても相変わらず彼氏が20年出来ない。


「高校時代に交際した年也君がイケメンで完璧過ぎたのよ。」と毎回言う麻里子。


しかし、年也君の話を聞けば聞くほど女にだらしないクズ男だった気に入らない事があれば、すぐに女に手を出す。ホテルなんてお金勿体無いから行かないんだろうけど、アレする時の場所はいつも麻里子の部屋。


それでも、年也は麻里子にとっては永遠のレジェンド。


「あんなに良い男と付き合うと、他の男が普通に見えちゃって。やっぱ良い男と付き合うとダメね」って、毎回言うのだ。こんな話を聞くと、イケメンって得なものだと思う。イケメンは、本当に腹の中を隠して七難隠すよね。


そんな麻里子は、知り合った男とはすぐに寝る真弓にとても厳しい。


「もっと、自分を大事にしないとダメよ。そんなスグに手を出す男なんて、やめときなよ!」


と、真弓に忠告。真弓は、「そうよね・・私がバカなだけなの・・」と言うんだけどさ。あのさ、それ聞くの。もう40回目だから。


このまま、101回目になれば武田鉄矢みたいな人からプロポーズされるんじゃなくて?と、思ってる私はあえて、真弓には何も言わない。どうせ、何言ってもこの女は変わらない。


多分、来るもの拒まず。ただの、SEX依存症女なだけ。だから、ほっとけばいいのよ。どうせ、何も変わらないんだから。


こんな時、いつも空気を読まずに「あのさー、話変わるんだけどさー。」と、何でも自分の話に持っていく、自分大好き女の小春。


いつも、飲み会では上目遣いで小悪魔気質。だけど、飽きっぽいから。


人が気に入った男を取るだけとって、すぐに飽きるから別れる。それで、「あの男はねー」と、得意気にペラペラ話すのが好き。とにかく、常に自分が中心でいたい。それが、小春だ。


私達は、正直小春の存在そのものが、苦痛極まりないのである。


正直、このメンバーからは嫌われてるが美人でモテる里美がいないと、飲み会の誘いが来ないのだ。


それから、実は皆には内緒なんだけど。まだ処女のまま、35歳になってしまった私こと由香里との、

なんちゃって仲良し女子会は今日もスタバで開催だ。


ホントは、もう一人いたんだけど。美咲って女。婚活パーティーで出会った男が、実は熱心な宗教家だったのよね。確か、ポクポン教団っていうヘンテコな名前の宗教で広告塔が教祖の娘である女優の谷口明子。全身整形で、かなりの大根役者なのにずっとテレビ出れるのはきっとポクポン教のバックアップがあるのだろう。


美咲は、女子会に誘うと必ず宗教の勧誘をしつこく話すから、やがて誘わなくなったのよね。


こういう女子会にいくと、いつも色んな事を思うのだ。


麻里子みたいに、たった一度でもどんなにクズでも、心の底から好きになれる相手と付き合えるのもいいなとか。


真弓みたいに、付き合う前にすぐ体許して捨てられてを繰り返すなんて、絶対嫌だなとか。


小春みたいに、美人で自己愛強かったら幸せなんだろうな。あとは、とりあえず美咲はバカだなって思う位かな。


でも、結局。みんな独身なのよね。他にも、友達いっぱいいたけど、同級生で売れ残ったのは、私たちだけだったのだ。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る