第5話 なぞの老人たち現る

 ちひしがれたつかさが、ふと、1かい廊下ろうかると一人ひとり老紳士ろうしんしっている。

「ご見学けんがくですか?」

 こえをかけたが、老紳士ろうしんし気付きすかない様子ようすで1号室ごうしつとびらをノックしてなかえた。

「ちょっと、勝手かってにはいらないでください。」

 つかさいかけようとしたが、部屋へやとびらまっていた。つぎ老紳士ろうしんしは2号室ごうしつをノックしてなかはいった。つかさいかける。やはりとびらまっている。2かいつづ階段かいだんで、ようやくその奇妙きみょう老人ろうじんいつくことができた。

なんなんですか?」

 つかさこえに、その老人ろうじん

「おや、おきゃくさんか?あいにくいま満室まんしつじゃ。集金しゅうきんわるまでちょっとっていてくれんかの。」

 とこたえた。ぼけているのか?あたま混乱こんらんしているつかさいて、老人ろうじんは2かいえた。

「2かいはまだもどっていようじゃな。」

 ほどなく老人ろうじんもどってきた。


 その老人ろうじん事故じこんだもとオーナーの一人ひとりだった。三人さんにんなかでは代表だいひょう役割やくわりをしていたらしい。

「ありゃ、わしらはんじちまったのかい。どうりで、はらかんとおもった。」

 ほか二人ふたりこしがった老婆ろうばも、1、2号屋ごうしつからてきた。

「こいつら、れいなのか。」

 つかさはアメリカでは宗教しゅうきょうちがいなのかれいることがなかった。すっかり自分じぶんえる人間にんげんだという自覚じかくをなくしていた。

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