第4話 事故物件?

 ひるごろつかさは近くのスーパーにものた。駅前えきまえ大通おおどおりにめんしたスーパーまではあるいて5ふん。自転車なら2ふんほどでつく。おちゃとお茶菓子ちゃがしぐらいは用意よういしておかないと。

 おもてると、道端みちばたばなしをしていた近所きんじょ主婦しゅふたちが、蜘蛛くもらすようにそそくさとかえっていく。そういえば、近所きんじょ引越ひっこしの挨拶あいさつをしにったとき様子ようすへんだった。みなわせずにさっさとドアをめた。


 しばらくスーパーでものをしていると、さきほどった主婦しゅふ二人ふたりものにやってきた。さいわいこちらにはづいてない。大柄おおがらつかさは、をかがめ商品しょうひんたなかくれてききみみてた。

「さっきは、おどろいたわね。」

「そうね、あの大家おおや、いきなりそとてくるんですもの。」

 どうやらつかさのことをはなしているらしい。

「でも、物好ものずきよね。あんな、幽霊ゆうれいアパートにるなんて。」

「まだ、半年はんとしよ。ほかに入居にゅうきょするひとなんているのかしら。」

なかには、いるそうじゃない。幽霊ゆうれいオタク。きっとそういうひとたちなんじゃない。」


 つかさいそいで部屋へやかえると、ネットで半年前はんとしまえのことを調しらべた。おおまかな住所じゅうしょ日付ひづけで検索けんさくすると、いくつかの記事きじてきた。

共同きょうどうアパート所有者しょゆうしゃ全員ぜんいんマイクロバス転落事故てんらくじこ死亡しぼう。』

 これだ。身寄みよりのない老人ろうじんにん資金しきんってアパートをてた。1かいはそれぞれの住居じゅうきょ、2かい大学生向だいがくせいむけの賃貸ちんたいとしていた。3にんは5ねん節目ふしめということで、正月しょうがつ旅行りょこうかけ、旅館りょかん送迎そうげいマイクロバスの転落事故てんらくじこった。

 当時とうじアメリカにいたつかさが、こんなちいさなローカルニュースをっているはずがない。あの不動産屋ふどうさんやはきっとっていたにちがいない。しかしらなかったといわれればそれまでだ。その、ネットにも幽霊ゆうれいアパートとのみがつづいた。アメリカじんならば、そんなことはにしない。イギリスじんは、むしろそういう物件ぶっけんこのひともいる。しかし、日本人にほんじん異常いじょうなほどにする民族みんぞくだと、つかさあらためておもらされた。

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