犬のいない時間

 犬を飼っていると、手間がかかる。年をとって病を患っているとなればなおさらだ。

 ああ、それでも私は君と共に老いたかったよ。

 もう君と歩けないのが、さみしい。

 体が君のいた暮らしを覚えている。

 欠けた穴が、からっぽで寒い。

 君のいた時間を思い出して涙ばかりが出る。

 何気ない音や言葉や色がトリガーになって君を思いむせび泣く。

 君と共にあった時間は紛れも無く喜びだった。

 いつか笑顔で話せる。


 今は泣こう。

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