2017年12月22日

 前の週に血尿が出た。抗生物質が処方され、服用。その日の朝に全部飲み切った。その後の血尿は無し。結果を確認するだけだ。尿だけ持って行けばすむ。犬を連れて行く必要は無い。

 だが、せっかくだから行っておこうと思った。散歩のついでだし、この子は先生が大好きだし。

 そのレベルの軽い気持ちでの来院だった。しかし持参した尿に鮮血反応があり。エコー検査を行った結果の宣告。

「これ以上は、うちの設備では無理やね。大学病院で検査するなら紹介状書くけど、どうする?」

 先生の声が、遠くから聞こえてきた。

「お願いします」


(嘘だろう。嘘だろう? こんなに元気なのに)

 帰り道、ご機嫌で歩く犬を見ながら、何度もくり返した。

(こんなに元気なのに。こんなに元気なのに)

 今し方、モニターにうつった影を自分の目で見たはずなのに、信じられない。受け入れられない。

(嘘だろう?)

 犬の名前は「ざんくろー」、犬種はジャック・ラッセル・テリア。前の日に、十三歳の誕生日を迎えたばかりだった。

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