十三之剣 「失望」
剣と剣が激しくぶつかり合い、辺り一面に金属音が響き渡る。ソラはタナと剣を交える最中、昔のことを思い出していました。タナと出会い、遊んでいた頃の思い出。
「ソラさん、俺と勝負しましょうよ!!」
昔からタナは、勝負事が好きで、ソラに何度も剣での勝負を挑んでいました。勝負を挑んだ数は、100回ほど。タナは、何度も、挑戦するも一度もソラに勝ったことがありませんでした。
タナは、決して剣術が優れている訳ではなかったが、いつも楽しそうに剣を振っていました。そんなタナをソラは、自分の昔の姿を見るようで、とても嬉しく感じていました。
「かつて、あなたと戦っていたころの私ではありません」
剣を振りながら、タナがソラに語りかける。
確かに、前までのタナとは違う。剣に重みがある。気を抜けば、簡単に剣を飛ばされる。
「ああ、そのようだな。だけど、負けねーよ!!」
ソラは、剣を思いっきり、振り下ろすが、違和感を覚える。剣に力が入っていない。腕の筋肉が衰え、剣の威力が下がっていることに気がつく。
ソラの剣を受けたタナは、失望したという顔をしています。
「なんだ、このふぬけた剣は、お前は本当に剣神ともてはやされたソラか。もういい......こんな戦いすぐに終わらせてやる」
そう言うと、タナは、強烈な一撃を加えようとする構えを見せ、凄まじい速さで間合いをつめる。
来る。タナの強烈な一撃が。
ソラは、長年の経験から、タナがどのように攻撃をしてくるのか、なんとなく読むことができます。そのため、タナの凄まじい速さの剣にも対応できるはずでした。
ですがーー。
ピキーンという音とともに、高々に飛んでいったのは、ソラの剣です。
分かっていた。タナが、俺の剣を弾き、飛ばそうとしにくることを。
だが、タナの攻撃を防ぐことができなかった。体が、自分の思うように動いてくれなかった。
ソラは、自分の力が以前よりも著しく低下していることを痛感し、膝から倒れ込みます。息も荒く。呼吸も乱れる。
タナは、そんなソラを失望した目で見ている。
「どうやら、かつて剣神と呼ばれたあなたは死んだようだ。勝っても、何も嬉しくはない。今のあなたは、弱い」
「そんな、そんなはずはない。もう一度勝負だ!!」
ソラは、膝を地面につけたまま、剣を背中に戻したタナに叫びます。
「あなたには失望した。もはや、戦う価値すら感じない」
「待て!!待ってくれ!!」
ですが、タナはソラに背中を向けたまま、何も言わず立ち去っていきます。ソラは、彼のあとを追いかけようとしますが、体が無理をしたせいで震え、あとを追える状態ではありません。
ソラは、押し寄せるやるせない気分に耐えられなくなって、思いっきり握り拳を地面にぶつけます。
俺は弱い。三年という月日が何もかも変えちまった。もう俺にはーー。
タナに完敗したソラ。三年という月日が、彼の積み上げてきたものを本当に奪い去ってしまったのでしょうか。果たして、ソラは、再び以前の力を取り戻すことができるのか今後を期待しましょう。
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