十二之剣 「衝突」

 何を言ってるんだ。タナは。


 剣での勝負を親友のタナから持ち出されたソラ。予想外の展開に狼狽している。そんなソラをタナは、敵意のこもった眼差しで見つめている。ソラを尊敬し、慕っていた頃のタナでは、もはや、ありません。


「俺は、お前と戦うつもりはない。悪いが、剣での戦いはやめておく」


 ソラは、そう言いタナに背中を向け立ち去ろうとする。ですが、タナは、剣での戦いを諦めるつもりはなく、ソラを挑発します。


「逃げるんですか。あなたは俺との戦いが怖いんだ。自分の弱さを知ってしまうから」


 タナの挑発に、ソラは立ち止まると、振り返る。


「分かった。やろう。ただ、俺には、

剣がない。村の武器屋で剣を調達してからになるが、それでいいな」


 ソラ自身にも、タナの言うことが挑発であることは分かっていましたが、剣士としての誇りを傷つけられたように感じたようだ。ソラの闘争心をかき立ています。


「もちろん、いいですよ。あなたと戦えるのであれば」


 ソラは、占い師の女性が言っていた通りに道を進み、武器屋へと向かう。ソラには、貨幣をそれ程持っていなかったので、剣一本を購入するのがやっとだ。所持金は、数えるほどになってしまった。ですが、ソラは、剣を購入したことに後悔はありません。

 ソラの購入した剣は、高くもなく安くもなく手ごろな剣。剣先は長く、しっかりと刃が研かれているため、光沢があります。まぶしい。それなりに使えることを期待できると思われます。

 ソラはタナのところに戻り言った。


「待たせたな。やろうぜ」


 タナは、ここでは村の人々の迷惑になるといい、人気のない開けた空間に案内する。ソラは、タナの後について行くが、足を少し引きずりながら、歩いているように見えます。


「よし、ここで戦いましょう。さっそく、始めましょうか。剣との戦いにおいてあなたに勝ったことは皆無。今日こそ、あなたを打ち負かす!!」


 タナは、背中の剣を抜き、剣先をソラに向けます。


 そうだ、俺は、タナに負けたことがない。負けるはずがないんだ......。


「今回も、俺が勝つ。負けられないんだ」


 ソラも、背中から剣を抜き構える。戦闘モードに入る。二人とも、戦う準備はできたようです。

 二人の間で、戦いのルールは決まっています。


 1、先に、剣の一部を相手の胴体に触れた者が勝者となる。

 2、相手に、血が出るような傷を負わせることは許されない。

 3、手から剣が離れた者は、その時点で負けが決定する。

 4、魔法の使用は禁止。純粋な剣の戦いをするため。


 大まかなルールは以上。そろそろ、二人の戦いが始まります。

 二人は、三メートルほど距離を空け、剣を構えながら立っている。どちらかが、踏み出したら、スタートです。

 二人は、お互い相手の出方を様子を見ており、沈黙がしばらく続きます。

 緊張感が漂い、空気が鉛のように重くなったように感じます。お互い見つめ合っている。二人とも、剣を握りしめる手に力が入る。

 久しぶりの剣での戦いということもあり、ソラは、口の中にたまった唾を飲み込んだ。


 すると、タナが、地面を思いっきり蹴り、剣を構えながらソラの方に駆け出した!!

ソラも、タナが駆け出した直後に駆ける!!


 ついに、二人の戦いが始まりましたーー。

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