三之剣 「身代」
「ドラゴンだ。ドラゴンの大群が来たぞ!!」
村人たちが、ドラゴンたちの方を指差し、騒いでいる。出場者たちも、近づくドラゴンたちに気づき、動きを止めた。
「おいおい、ドラゴンとかありか?」
「俺、ドラゴン初めて見た」
「俺も」「俺も」「俺も」「俺も」
「うるせーよ。ドラゴン見たことない奴多すぎだろ」
どうやら、出場者たち、めったにお目にかかれないドラゴンたちに興味津々のようだ。ドラゴンの大群が迫ってきているというのにこの余裕。さすが強者揃いと言いたいところですが、まだ、大会は終わっていません。果たして、ドラゴンに気をとられていてもよいのでしょうか。
“闇”
出場者がドラゴンに注目している最中、黒い陰が剣に向かって迫っている。一体、なんだ、この影は。ドラゴンに夢中で剣に忍びよる影に誰も気づいていない。剣神ソラ、一人を除いては。
ドラゴンが来る。一体、ニ体、いや、三体かーー。
実は、ソラ。ドラゴンが背中に生えた両翼を羽ばたかせ、こちらに向かい始めた時からドラゴンたちの気配を感じていた。また、ドラゴンたちとは別のまがまがしい気配が近づいていることにも気づいていたようです。
その距離およそ10キロ。かなりの距離だ。どんなに視力がいい人でも、この距離は姿を捉えることは困難でしょう。ソラは、魔力を感じとることにおいては、ここにいる強者たちの中でもトップクラスだ。
ソラは、目にも止まらない速度で、剣に向かう、謎の影のところまで移動した。そして、背中の剣を抜き、影を攻撃する。
なんて、速度だ!!人々が瞬きを終えた時には、すでに、謎の影のところまで移動していた!!四コマ漫画を読もうとしたら、一コマ目からいきなり四コマ目を見てしまったような衝撃が襲い来る。
ソラの剣による攻撃は、寸分の狂いなく、地面にうつる謎の影に命中した。地面は凄まじい轟音とともに派手に砕け散る。これは、後で、地面を整えるのが大変そうだ。
まだだ。まだ、気配が消えてない。
どうやら、強烈な攻撃を与えたにもかかわらず、敵は無事のようだ。ソラは、辺りを見渡し、必死に相手の気配を探る。ですが、見たところ、周りに敵の姿はありません。
目で見えないなら、これでどうだ。
“
おっと、ソラがいきなり、目を閉じ体中の力を抜いた。かなり無防備の状態ですが、これは、ソラの必殺技、“0の構え”だ!!
「はは、そんなに無防備じゃ。僕の攻撃で一撃だよーん」
敵の声だ。声が聞こえたと思うと、ソラの真後ろに敵が姿を現した。
その瞬間ーー。
ソラは、後ろを振り返ることなく、剣を後ろに振り、突如、現れた敵に攻撃を与えた。
剣神の一突きが決まりました。敵の出現とほぼ同時のタイミングだ。これぞ、“0の構え”。目を閉じることで、精神を研ぎ澄まし、わずかな魔力を感じ取り、反射的に攻撃を食らわせる。全くソラには死角がないのか。剣神の実力を見せつけます。
「グホッ!?」
敵も、まさか姿を出した瞬間に、やられるとは思っていなかったようです。驚きが混じった声を出し、凄まじい勢いでどこかに飛ばされていく。風に乗って、どこまで飛ばされていきそうな雰囲気だ。
敵は、身の危険を感じたのか、再び姿を消した。どこだ。どこにいった。敵の特徴を説明する前に消えてしまった!!ソラを襲った奴は一体、どんな奴だったんだ!!
「ふふん、さすが、剣神ソラ。僕に一撃を加えたことは誉めてあげるよ。だけど、君たちは終わりだ。なぜなら、魔王様が聖剣を手に入れるのだから。魔王様、ソラは僕が引きつけました。剣を抜いて下さい!!」
姿を消してどこにいるか分からないが、とこからか敵の声がしています。ソラに一撃を食らわされたにもかかわらず、敵はえらそうな態度をとっている。
それに、なんと魔王様というワードが出てきました。魔王といえば、ファンタジーの世界ではラスボス的な位置付け。勇者の倒すべき最大の敵だ。その魔王が、この場所に来ているとは驚きです。
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