第2話
辺りは暗く周りには大木しかない。フクロウの鳴き声が聞こえ月の光がよく目立つ。
恐らく森の中だろう。
「なんで俺っちはここに?」
何故ここにいるのか分からずにいた。
過去の出来事の記憶が一切なく何も思い出せない。
ただ1つ忘れていないのは自分の名前だけだった。
「とにかくここから抜けよう」
森を抜けるために歩き出した。
月の光を頼りに歩いていく。
獣や魔物の気配は一切ない。
しばらく歩いてると目の前に大きな光が見えた。
「もう少しで出れる!」
そう思い走り出す。
だがその光の主はフクロウの目の光であった。
月が沈み始め太陽が登り始めた。
辺りは明るく夜中より見えやすくなった。
すると奥に手の加わった道が見えた。
そこまで歩いていくと一本道が出来ていた。
道なりに歩き始めて数十分後。
前方に村が見えた。
歩く速度が早くなり次第には走り出していた。
そして森から抜けた。
するとそこには多くの家があり、たくさんの人がいた。
挨拶をしようと声をかけようとしたその時、
「みんな逃げろー!!魔物がいるぞ!!」
俺っちのことを魔物と呼びみんな逃げ出したのだ。
俺っちは何のことだかさっぱり分からず弁明しようとした。
人をみつけようと歩いていると目の前を1人の女性が通り転んだ。
すると女性は死を覚悟したような口調で言った。
「お願い......です。助け......てくださ......い」
とても弱々しい声だった。
「いや別に俺っちは殺したりはしないよ。ただ道に迷ったからここに来たわけで」
「あ......は......」
女性はまだ怖がっていた。
でも俺っちが襲う気がないのを悟ったのか若干顔には安堵の表情が浮かんでいた。
俺っちが女性に話しかけようとしたその時
「「ヘルファイア!!」」
広範囲に及ぶ炎が俺っちを襲った。女性こど焼き払おうとしている。
俺っちは咄嗟に女性をかばい直撃した。
「やったか?」
俺っちは死んではいなかった。火傷や傷すらなかった。
「女だけが犠牲になったか。攻撃を続行しろ!」
「「はい!」」
そう彼らが言い放った瞬間。刹那の如く俺っちは素早く移動をし、手刀を繰り出し気絶させた。
「さっさと失せろ」
残りのヤツらに殺気を込めて言い放った。
彼らは怖気付き仲間を連れ逃げていった。
「女性は?!」
後ろを振り向くと彼女はそこにいた。
近寄り生死を確認すると、
「よかった。息がある」
俺っちは一息つき安心した。
遠くから見ていた村人が近寄り状況を確認してきた。
そして言った。
「おい!孫から離れろ!!」
1人の男性がそういった。おじいさんぐらいだろうか。髭をはやし髪は白髪だった。
「おじい......ちゃん」
俺っちが助けた女性がそう言った。
おじいちゃんは今ので勘違いしたのか孫が殺されそうになっていると勘違いをし、
「今助けに行くからな!!」
おじいちゃんはそう言って武器を片手に俺っちに寄ってきた。
そして
「っ!!......は......」
武器でお腹の辺りを刺された。
刺された部分からは血が滲み、垂れていく。
ポツポツと音が出るほどに大量の血が流れていく。
刺された部分が熱くなっていく感覚が分かる。
痛みを我慢し必死に声を絞り出す。
「俺っちに......敵対心は......ありません」
俺真剣な眼差しで必死に訴えた。
「おじいちゃん!」
「ニーナ!」
「あの人は私を助けてくれた!ほんとに私達を傷つけたりしないし危害を加えるつもりはないよ!」
「ニーナ......でも......」
おじいちゃんは俯きしばし考えていた。
(やばい......血の量が......)
「だからねおじいちゃん」
ニーナがそう言いかけた時、
ニーナの後方で誰かが倒れる音がした。
俺っちは大量出血で気を失い倒れた。
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