第10話
彼は今ノーベル賞にノミネートされている。でも私は、過去二十年も前から不眠で悩んでいるが今は、薬があるから平気である。
その村上氏の作品をそのまま書いてみる。
十時になると、私は夫と一緒にベッドに入った。そして一緒に眠るふりをした。
夫はすぐに眠った。枕もとの電灯を消すと、ほとんど眠れないで苦しむ人のほうがずっと多いのだ、と私は思った。
父はいつも熟睡できないことをこぼしていた。寝つきが悪いうえに私の妻はそうではない。
一度眠ったら、何があろうと朝まで起きない。結婚して間もない頃、私はそれがおかしくて、この人は一体どうやったら目を覚ますんだろうと、何度も実験してみた。
スポイトで顔に水を垂らしてみたり、刷毛で花の頭をこすってみたりした。でも彼女は絶対に起きなかった。
しつこく続けると、最後にやっと不快そうな声を出すだけだった。
夫は夢さえも見なかった。少なくとも、どんな夢を見たのかまったく思い出せなかった。
もちろん金縛りなんかに遭ったこともない。泥に埋もれた亀のように、ただ無心に眠るだけだ。
十分ほど横になってから、私はそっとベッドを出る。
そして居間に行ってフロア・スタンドをつけ、グラスにブランデーを注いだ。
そして居間に行って、ブランデーを一口舐めるように飲みながら本を読んだ。
気が向くと、戸棚に隠しておいたチョコレートを出して食べた。そのうちに朝がやってきた。
そういう行為は、私も共有している。
私の場合は、毎朝ビールを飲んでからの出勤であった。
そうでもしないと、仕事にいくモチベーションが上がらなかった。その様子を見ていた嫁に、「お父さん、朝からビールを飲んでいては、仕事にいけないでしょう」という非難を受けていた。
そんな日は店に行く前に北千住で電車を降りるという異常な行動を繰り返していた。
私は、スマホの自撮りで自分の顔を写す方法を学んだが、私の場合は使わないだろう。
私は、これから常陽銀行にいくつもりだ。
不眠症 @kounosu01111
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