第4話

 夜になると、激しい覚醒がやってきた。その覚醒の前では、私は完全に無力だった。

私は強い力で覚醒の核にピタリと固定された。その力はあまりにも強力だったので、私にできるのは朝が来るまでじっと覚醒し続けることだけだった。

夜の闇の中で私は目覚め続けていた。物を考えることさえできなかった。時計が時を刻む音を聞きながら、闇が少しずつ深まり、また淡くなっていく様子をただ見つめているしかなかった。

 

 でもある日、それは終わった。いつものように汗をかいて、十二時に目覚めてしまい、朝食は店でモーニングを食べていた。

 その日も忙しく、両腕はパンパンに張っていた。

 どういう理由でその不眠症のようなものがもたらされたのか、そしてどういう理油で突然消えてなくなってしまったのか、私には説明できない。

風に吹かれて遠くからやってくる分厚い黒い雲のようなものだ。その雲の中には、私の知らない不吉なものがたっぷりと詰まっていた。

それがどこからやってきて、どこに去っていくのか、誰にもわからない。でもとにかくそれはやってきて、しばらくの間私の頭上をぴたりと覆い、そして去っていったのだ。


 しかし、今私が眠れないというのは、それとは全然違う。

私はただ単に眠れないのだ。一睡もできないのだ。そして私は腰を痛めてリタイアした。

私の五十五歳の時であった。預金を取り崩してしのいでいた。

それ以後も、私の生活は表面的には何一つ解決しない。これは私が自分一人で処理しなくてはならないものごとなのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る