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「問題はミケさん自身です」
「ミケ?」
カップを傾けたミケに視線を送る。ふぅ、とため息を吐いてからミケは口を開いた。
「そうなんですって。恋愛運は上々で、二十八年振りの大恋愛期、だとか」
「はい、今年運命の相手と結ばれる確率は相当高いです」
「ん? 高いってことは、絶対結ばれるってわけでもないってこと?」
「花菱さんは聡明ですね」
「ミクリさん程では」
「そうです。占いとは確実に未来が見えているわけではありません。使命や運命は変わりませんが、進む道は行動によって変わりますから」
ということは、今年ミケが運命の相手と結ばれない事もあるってこと?
「ありえます。確率が高いだけですから。それにもし運命の相手と出会っていたとしても、結ばれるかどうかは本人次第ですから。もちろん否応なく縁が結ばれることもありますが、それが深くなるかどうかは分かりません」
「なるほどね」
ミクリさんの言葉を聞いても、ミケは無言で紅茶を飲むばかり。表情を見ると何かを考えているようだけれど・・・
「視てみても、口を閉ざされていて上手く受け取れません。ミケさん自身も混乱されているようです」
「そんなことも分かるんですね」
「まぁこれでも占い師ですから」
ミクリさんの言葉でミケがさらに混乱したのかもしれない。だって、運命の相手と結ばれる運勢なんだから。言わずとも、イツキちゃんが浮かんでくるんだろうし。
「占いは道しるべ、歩いて行くのはミケさん自身ですから」
「はい」
その返事は重い。ゲイが好きになったのがノンケの女の子なんだから、混乱するに決まってる。
「でもミケさん、大丈夫ですよ」
「大丈夫?」
「ミケさんはもともと友達運がとても良いですから。困った時は花菱さんを頼ってください」
頼ってくださいっ!?
「花菱さんはきっとミケさんを助けてくれますから」
どういう根拠!?
「・・・本当に?」
それでも不安そうにそうミケが訊くから。
「当たり前だろ」
「はなちゃん・・・」
「何でも話し聞いてやるから」
乗りかかった船? いや違う。でも親友だからって言うと違う気がする。そんな簡単な関係じゃないから。
「ったく、ミケはしょーがねぇなぁ」
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