敵であっても………

レギス視点


レギス「…………!」


レギスがスウェルタが敵であると知ってから2日経った頃………レギスの携帯に着信が………


レギス「もしもし………?」


スウェルタ『レギス 元気か』


着信の相手はスウェルタだった………しかし普段と違いかなり声が低い


レギス「スウェルタ……私………」


スウェルタ『その感じじゃ俺のことを知ったんだな』


レギス「もしかしてスウェルタ………」


スウェルタ『レギスが知るより先に知ってた けど会いに行った』


レギス スウェルタの様子はいつもと大して変わらなかった………動揺することもなく一緒にいたけど本当は知ってた………


スウェルタ『言ったろ?「一目惚れだった」ってさ

なぁレギス………今会えるなら会おう』


レギス「いつものところ」


スウェルタ『わかった』


レギス 敵同士でも………私は………!!


レギスはスウェルタを愛していた………もうスウェルタがいなければ自分が成り立たないところまで来ている………スウェルタがいなければレギスはレギスでいられない


レギス「スウェルタ」


スウェルタ「この前ぶりだね レギス」


レギス「怪我してるじゃん!?治療を………」


スウェルタ「いやいいよ かすり傷だから」


いつもの待ち合わせの場所に先に来ていたスウェルタは所々かすり傷だらけで、顔は殴られたのか口の端から血が出ていて既に固まっているが、その姿はあまりにも痛々しい


スウェルタ「場所を変えよう」


スウェルタにそう言われてレギスは隣を歩くがバイクに乗るらしくヘルメットを渡され、エンジンのかかっているバイクに乗ってスウェルタの運転下どこかへ


レギス どこに行くんだろう………


スウェルタはバイクを乗り慣れているのかスピードを上げながらスイスイ車と車の隙間を行く


スウェルタ「乗ってて」


そして走り出して20分程して明らかどこかの組織の城にしか見えない場所につき、若干冷や汗が出始めたもののスウェルタが門番と話していたので聞けない


スウェルタ「He spoke the other day(先日話した者だ)」


門番「I have only the commander Do you mind?(司令官しかおりませんが 宜しいですか?)」


スウェルタ「Not fit It's all right(構わない いるだけで大丈夫だ)」


門番「I will tell you(お伝えしてきます)」


レギス あれ?英語?


レギスは英語は勿論のことフランス語やドイツ語にイタリア語と言った(それ以外にも)、多種多様の様々な国の言語が話せてわかる


スウェルタ「待たせた 行こう」


暫く待っているとようやく門が開きバイクに乗ってその門を潜り地下の駐車場へ


レギス「ここは?」


スウェルタ「アルタイルとアルタイルの兄弟組織「ジーフェスト」の傘下組織「ルヴァンナ」」


レギス まさかのアルタイル関係の組織………!?


スウェルタ「………この部屋」


ほぼ顔パスで入ったスウェルタは明らかほかの部屋とは違う作りの部屋の前に止まり、その部屋の扉を開けて入っていく


スウェルタ「悪いなルナ………忙しい時期なのに」


ルナ「他ならぬ貴方の頼みですから」


スウェルタ「相変わらず堅いな」


ルナ「昔よりはマシになりましたよ」


部屋で待っていたのは組織の首領である「ルナ・ウェーシュ」………スウェルタとは随分と古い仲だがスウェルタの本名は知らない(薄々気がついてるが)


ルナ「お座りになって下さい」


ルナが扉の前で固まっているレギスにそう催促しダージリンティーとケーキを渡す


レギス「ありがとうございます………」


ルナ「敬語なんてそんな………私こう見えてまだ19ですよ」


レギス「へ?」


スウェルタ「アルタイルの初代の血を引いてるんだ

だから成長速度や見た目と実年齢の差が生じる」


レギス 確かにアルタイルの初代の方は見た目と実年齢に差が生じていたけど………若いとこんなに差が!!??


ルナは見た目こそ首領としての貫禄があるが実年齢はまさかの未成年


スウェルタ「ルナ ダージリンティーお代わり」


ルナ「好きなだけあって飲むのがお早いですね……と言うか本題からそれてますよ」


スウェルタ「最初の方からそれてたけどな」


ルナ「そういうツッコミは結構ですので 本題を」


スウェルタは紅茶を啜りながら静かに目の前に座ったレギスを見る………その瞳はどこか寂しげで悲しげなもの………


スウェルタ「首領に関係がバレた 部下達には言わない約束をしてくれたが………片目の視力と手投げナイフを奪われた」


レギス「え?」


スウェルタ「………片目はもう見えてないんだ」


スウェルタは組織の首領に視力と投げナイフを奪われても尚レギスに会いに来た


スウェルタ「元々視力は弱まっていて見えずらかったんだ………」


レギス「どうしてそれを………?」


スウェルタは最初から持っていたのだろう煙草を口に含み火をつける………整った顔はいつの間にか傷が癒え煙草を吸う姿が様になる


スウェルタ「………アルタイルに行ったのなら知ってるだろうけど俺はもう長くない」


レギス「でも治療法はあるって………」


スウェルタ「俺は他の人と違って不老不死に効く治療法も力を持っていない人に効く治療法も………俺には効かない………そもそも不老なんて俺ぐらいだしこのままでいい」


レギス「「このままでいい」ってなんで?」


スウェルタは「ふーっ」と言いながらタバコの煙を逃す………レギスが煙草の煙を吸わないように気を使ったのだろう


スウェルタ「満足してるからだ 今の状況に」


レギス「…………」


スウェルタ「もう46年生きた………満足してる」


そう言ってスウェルタは口角を上げて優しく笑った………その顔がレギスがずっと探している少年に似ていて………とても愛しく思ってしまう


スウェルタ「レギス 俺はお前といられるだけでいいんだ………もう数える程度しか会えないとしても………今が幸せなんだ」


スウェルタは「今が幸せだからそれでいい」と呟くように言う……しかしレギスはそれは少し寂しく思ってしまう………「先に進みたい」とそう願ってスウェルタを見るがその瞳は酷く寂しく揺れていて………


レギス 本音を言えばスウェルタも先に進みたいしこの業界から足を洗いたいけどそれができない?もしそうなら………


レギス「なんで………」


スウェルタ「俺は生まれつき運がないんだ」


スウェルタはレギスの言いたいことを感じ取りそう言った………濁した上で言ったのだが………その顔はどこか寂しさを孕んでいる


スウェルタ「レギス お前は俺が敵でも好きでいてくれる?」


ふとスウェルタが真顔になってレギスにそう聞いてきた………きっと怖いのだ………レギスを失うことが………


レギス「ずっと好きだよ 例え敵であっても」


スウェルタ「良かった」


レギスの言葉に緊張がほぐれたのか普段の顔に戻っておおらかに笑う


レギス「ところでなんでここに来たの?」


ルナ「この部屋は特殊で防音の盗聴を防止するための部屋です そして俺がいるのは万が一の場合を備えてのこと」


スウェルタ「監視されてる だから迂闊に外も出歩けないんでルナに頼んだ………因みに言うとカルスもレギスが敵だって知ってたが「言わない」と約束してくれた」


レギス 通りで最初会った時堅かったわけだ………


レギス「カルスって付き合い長いの?」


スウェルタ「26年の付き合いだな 弟の恋人だったから半ば弟のような感覚」




真剣な話をした後レギスとスウェルタはルナを交えて談笑をした………それこそ本当に敵同士と知る前のように………




2人は敵同士でも愛し合っていた………それこそ先に進めない臆病な愛であっても………ただそこに愛しい人がいればそれでいいのだ………

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