恋人と黙認者

スウェルタ視点


スウェルタ「………ぅ………」


スウェルタ ここ………組織の自室か………?どうやってここまで………


スウェルタが組織に戻ってきて1週間………漸く目の覚ましたスウェルタは自分が組織に帰ってきたまでは覚えているが………それ以降のことはわからない


ユレイト「目 覚めたか」


丁度様態を見に来ていたユレイト


スウェルタ「ユレイト?………いっ!?」


ユレイトを見て起き上がろうとしたスウェルタだったが痛みで起き上がれないので、痛みに耐えつつユレイトの方を見る


ユレイト「お前組織帰ってきた時には重傷だったんだぞ?よくそれで動けるな………」


スウェルタ「ユレイトが運んでくれたのか?」


ユレイト「たまたま駐車場の見回りしててな」


余程心配していたのかユレイトは前より少し痩せていて元気がない


ユレイト「お前1週間眠ってたぞ」


スウェルタ「1週間!!??……うぅ………」


スウェルタ ユレイトの言葉に驚いて飛び起きたまではいいが痛てぇ………


ユレイト「痛いんなら動くな」


スウェルタ「心配かけてすまん」


ユレイト「ホントだよ………」


スウェルタ 1週間飲まず食わずで仕事してた感じだな………


ユレイト「だが俺よりも心配していた奴いたぞ」


スウェルタ「カルスか?」


ユレイト「ご名答 お前の分の仕事と自分の分の仕事、お前の見回りの整理や世話してたのカルスだからな」


スウェルタ「通りで部屋が片されてると思った」


スウェルタ カルスには完全に部屋に入ろうが俺の所有物片そうが許してるからな………


「コンコン」


スウェルタ 部屋にノックしてから入るヤツ一人しかいねぇ………


ユレイト「どーぞー」


カルス「失礼します」


スウェルタ「カルス」


部屋をノックしてから入る礼儀正しい人はスウェルタの中ではカルスだけで、スウェルタを見た瞬間に暗げだったカルスの顔がみるみる明るくなっていく


カルス「目が覚めたんですね スウェルタ様」


スウェルタ「ついさっきな」


スウェルタ 嬉しそう………


普通気を許しきっている人が目覚めたとなれば嬉しい


カルス「そうですか 食欲は?」


スウェルタ「ん?腹は減った」


カルス「今作ります 何がいいですか?」


スウェルタ うわぁ………カルスが超イキイキしてるよ………心配したが故の反応だけど今回はすごいな………


スウェルタ「お粥頼む」


カルス「はい(`✧ω✧´)」


ユレイト「え、何?お前家事も頼んでんの?」


スウェルタ「俺よりカルスの方が上手い」


スウェルタも家事全般は余裕でできるがカルスの方が上回っているらしく任せているらしい


カルス「できました(*^^*)」


スウェルタ「流石 悪い手が使えん」


カルス「了解です」


神業で早々にお粥を作ったカルスが腕の使えないスウェルタにお粥を食べさせる


スウェルタ「うす塩味か」


カルス「ええ スウェルタ様は梅が苦手でしょう?」


スウェルタ「うん んあ」


カルス「はいはい」


スウェルタ うめぇ


カルスは料理が上手いのでスウェルタもちゃんと最後まで食べ切る


スウェルタ「やっぱり美味いな」


カルス「それは良かった」


スウェルタ ほんと嬉しそうな顔するよなぁ………いつ見ても飽きねぇ


スウェルタのは自分の何気ない一言で表情をコロコロ変えるカルスを見ていて飽きない


カルス「仕事があるので洗い物が終わったら仕事に戻ります」


スウェルタ「了解 ありがとな」


カルス「いえいえ」


スウェルタ 俺相手にカルスは笑うが出会った当初は笑うなんてものじゃなかったんだよな………


カルスが仕事に戻りユレイトも部屋を後にしたのでスウェルタはそんなことを思う………カルスは元々「アルファーダ」の構成員ではなくフリーの殺し屋で、重傷を負い死にかけていた所をたまたま街を見回りに来ていたスウェルタに拾われて命を繋いだ………


スウェルタ まぁ前に比べて昔のトゲトゲしさもなくなったしいっか


そんなことを思いながら眠気に任せて体が傷まないようにゆっくり寝転がり眠る


〜3週間後〜


カルス「スウェルタ様 いくら傷が治ったといえどまだ戦闘は控えてください」


3週間後 傷が癒え食事をしていたところにカルスが来て隠していたことを言われて驚く


スウェルタ「ええぇぇえ(なんでわかったし)」


カルス「鈍る気持ちも分かりますが まだ痛みが残っているんでしょう?」


スウェルタ「………お前ほんと俺相手だとなんでも見抜くよな」


スウェルタ 確かに鈍るのは嫌だし痛みは残っているがここまでわかるか?


カルス「貴方に救われた命です 貴方を護り共に痛みを分かち合うのが仕事です」


スウェルタ「甘々だな」


スウェルタ 嫌いじゃないけどね


カルスのスウェルタ相手での甘々な態度はスウェルタ自身嫌いじゃない


スウェルタ「少し散歩してくる」


カルス「近場ですか?」


スウェルタ「墓参り行ってくる その後に散歩」


カルス「お気をつけて 」


スウェルタ 今日は弟のシューウェイの命日だからシューが好きだった食べ物買って行こう………


一旦自室に戻ってから私服に着替えて実の弟の墓参りに行く


スウェルタ ………当時は弟がいるなんて知らなかった………そもそも親が死んだ理由が殺し屋に殺されたってだけで、弟はその前に生まれて殺し屋として生きていた………出会って早々俺を「兄」と言い出したのは驚いたが………病で先の短かったシューには俺と会えただけで良かったのかもしれない………


そんなことを思いながらスウェルタは口元まで布を上げ墓近くのスーパーで、シューウェイが好きだったみかんを買う


スウェルタ「シュー お前が死んでからもう26が経った………お前はあの世で会いたい人には会えたか?」


弟の墓につき花と線香を備えてみかんを置いてそんなことを言う………20歳の時に弟を失ったスウェルタは今は自分の好きな人がいて静かに恋をしている


スウェルタ「シュー じきに俺も行くから」


そう言ってスウェルタは立ち上がって街を散歩


スウェルタ「レイ?」


ふとスウェルタは見慣れた人を見かけてスウェルタが声をかける………すると本人も気がついたのかびっくりしている


レギス「スウェルタ?」


スウェルタ「怪我は治ったけど痛みが残ってるからまだ仕事させてくれなくてさ」


レギス「そうなの?」


スウェルタ「うん」


レギスと思わぬタイミングで会えて嬉しいスウェルタとまさか普通に合うとは思わなかったレギス


レギス「今大丈夫?」


スウェルタ「大丈夫だよ」


レギス「こっち」


レギスに言われスウェルタは後ろを歩きながらどこに行くのかを考える


スウェルタ「………いつもの所?」


レギス「そう」


レギスがスウェルタを案内したのは2人がいつも待ち合わせしている場所


レギス「私の名前ね「レギス」なの 「レイ」は偽名」


スウェルタ「そうなの?(最初から知ってたけど)」


レギス「うん」


スウェルタ 名前は最初から知ってたからいいとしてなんで本名を………


レギス「私スウェルタが好きなの だから………付き合ってほしい」


スウェルタ「………え?/////」


まさかまさかの告白をされて不意打ちを食らったスウェルタは赤面


レギス「スウェルタが嫌じゃなければいいんだけどね?嫌だったら断ってくれても………」


スウェルタ「断るわけないでしょ」


焦って何を口走っているのか少し理解出来ていないレギスを、スウェルタは無意識に抱きしめてそう言う


スウェルタ「喜んでお付き合いさせてもらう」


スウェルタ やっぱり姉さん可愛い………


レギス「良いの?!」


スウェルタ「俺一目惚れだったんだよ レギス」


レギス「(////∧////)」


スウェルタ まじクソ可愛い


最早「可愛い」しか出てこないスウェルタ


スウェルタ「お茶でもする?」


レギス「する」


スウェルタ「紅茶好き?」


レギス「好き」


恋人になった瞬間から甘々になったレギスにキュンキュンしながらスウェルタはオススメの店へ


スウェルタ「…………」


カルス「…………」


そしてたまたま仕事の休憩中にお茶をしに来ていたカルスと相席の形で遭遇


スウェルタ「彼女出来た」


カルス「見ればわかりますよ」


スウェルタ「…………/////」


カルス「初めまして」


しかも座ったのが個室だった


レギス「初めまして………」


スウェルタ「俺の側近 「カルス・リューウェイ」」


カルス「お見知り置きを」


スウェルタとレギスは完全に緊張しているしカルスは少し固い


スウェルタ「(固いなぁ………)」


と思いつつスウェルタはレギスとのお茶会を楽しむ


カルス「(スウェルタ様は気がついていないが隣の女性「レミーア」の高ランク者だぞ………)」



カルスは気がついていた………レギスが敵組織の幹部であり………スウェルタが誰よりも優しい笑顔をするのがレギス関係であることを………そして「他者には言わない」と心に決めた………


全ては敬愛なるスウェルタの為に………







レギスがスウェルタが「敵組織の幹部」だと知るまで後2週間………





スウェルタがレギスが「敵組織の幹部」だと知るまで後2日………

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