姉へのプレゼント

スウェルタ視点


レギス『レオン』


スウェルタ「…………」


レギスが若い頃に呼んでくれたその名前………今では義理の兄と義理の弟の2人しかその名は呼ばない………寝起きの悪さを感じながらスウェルタは起き上がり洗面所に行ったがそこには………


???「スウェルタ」


スウェルタ「何か用か ユレイト」


ユレイト「殺気を出すな 寝起きか?」


スウェルタ「以外にも理由はあるがな いつ部屋に来た」


スウェルタ なんでプライベートのしかも休日に会わなきゃならないんだ


洗面所には長いこといたであろう親友のユレイトがいて、仕事中は別にしてもスウェルタは親友であるユレイト相手でも、基本的にはプライベートでは会いたくない(というか誰にも会いたくない)


ユレイト「1時間くらい前」


スウェルタ「馬鹿なのかお前は?寝てる時に来てなんか意味あるのか?そもそも何の用だよ」


ユレイト「相変わらず俺には塩………っておいナイフ投げんな」


スウェルタ「今日は休みな上にここはプライベートルームだぞ 分かってんのか」


ただでさえ寝起きで機嫌の悪いスウェルタにユレイトはナイフを投げられたがそれをキャッチし、苛立ちが募っているスウェルタは親友のユレイト相手に殺気全開


ユレイト「ちゃんと寝てるのかなって思ったんだよ

お前いつもいつ寝てるかわかんねぇから」


スウェルタ「お前らと違って俺は不死じゃねぇんだから寝るわ普通 見た目が変わってないだけだ」


ユレイト「お前「不老不死能力者」じゃないのか?」


スウェルタ「そろそろ切り刻まれたいのか?」


とスウェルタが言うとユレイトは流石におふざけが過ぎたと理解し手を上げる


スウェルタ「要件は」


ユレイト「首領から「有給を使え」ってことで2週間有給になったのを伝えに………」


スウェルタ「電話で言え あと出てけ」


完全に怒なスウェルタを相手にすると本当に切り刻まれそうなのでユレイトはそそくさと退散


スウェルタ 2週間休みったって何すんだよ………


有給を貰ったとはいえ普段そんなに休まないスウェルタは少し困る………悩んだ末に義兄の所へ行こうと決め、軽い朝食を取ってから私服になり髪型を決める


スウェルタ「少し寒いな………」


設定した時間よりも2時間早くスウェルタは指定した場所に到着し暖かい飲み物で暖を取りつつ、時間をちょくちょく確認


???「あれ?スウェルタ」


ふとそんな声が聞こえて声のする方を見ると人を待っているであろう義弟の姿が


スウェルタ「ガージェス 人を待ってるのか?」


義弟のガージェスは今は日本にいるが昔はアメリカで巨大組織に所属していた(今は脱退し日本へ)


ガージェス「そ〜スウェルタは?」


スウェルタ「俺も人待ち 2時間早くついてな」


ガージェス「相変わらず時間には厳しいね………あっ」


???「ガージェスと………スウェルタ?」


ガージェスが待っていたのはスウェルタの義兄であるレイガ


スウェルタ「人待ちで」


レイガ「そっか」


スウェルタ「義兄さん少し痩せた?」


スウェルタはレイガとガージェスの体格をよく観察しているのもあり、2人の体重は勿論筋肉量の違いに気が付きやすい


レイガ「筒抜けか………」


スウェルタ「見ればわかる ガージェスも2kg痩せたろ」


ガージェス「その観察眼本当にすごいね………」


2人が引くぐらいにはスウェルタの観察眼と勘は鋭い


スウェルタ「今日の夜中に帰る」


と2人が痩せた理由を察しているスウェルタの言葉に2人が明るい顔に………


レイガ「休みになったのか?珍しいな」


スウェルタ「有給入れられた」


ガージェス「滅多に長期間休まないもんね………」


と話をしていると遠くから聞きなれた音が聞こえ話を切り上げてスウェルタは最初いた場所へ


レギス「スウェルタ」


スウェルタ「早いな」


レギス「スウェルタの方が早かったけど………」


スウェルタ「予定時間よりも早く来るのは基本だろ?行こう」


2人との話を切り上げて数分するとレギスが到着し街をフラフラと散歩


レギス「…………」


ふとレギスが立ち止まりスウェルタがどこを見ているのかと思いレギスの視線の先を見る………すると店のショーウィンドウにあるオルゴールを見ていた


スウェルタ 殺し屋とはいえ女性だしな………昔はそういうのを見てるだけで怒鳴られてたから余計に気になるんだな……


既に親から解放されているというのにレギスは過去のトラウマで目を離そうとするが、どうしても気になっているのか目を離せられない


スウェルタ「ゲホッゲホゲホ」


スウェルタ ………だいぶ来てるな………


不意に感じた喉の痛みに咳き込むと前よりも量の増えた血が………


レギス「大丈夫?」


スウェルタ「もう良いのか?………大丈夫」


レギス「もしかして待っててくれたの?」


スウェルタ「ウインドウショッピングも良いと思って」


スウェルタ 咄嗟に言い訳をしたけどバレてる可能性が高いな………


レギスが殺し屋であるのは知っているし血の匂いはすぐに分かるだろうとスウェルタは思うが、変に詮索されて身元と自分のことを知られても困るので細かくは考えない


レギス「…………」


スウェルタ「オルゴール好きなの?」


話を終えた後もレギスはオルゴールを見ているのでそんなことを聞いてみる


レギス「好きっていうか…………音を聞いた事がないから………」


スウェルタ「気になるってことね」


そう言ってスウェルタはレギスの腕を軽く引いてその店の中へ


店員「あら スウェルタ様」


スウェルタ「久しぶり 店どう?」


店員「スウェルタ様のおかげで繁盛しております」


スウェルタは殺し屋以外にもデザイナーや評論家もやっておりかなり有名


スウェルタ「ショーウィンドウに飾ってあるシルバーのオルゴール視聴できる?」


店員「少々お待ちください」


レギス「………お店の人と知り合い?」


スウェルタ「この店の外見と内装をデザインしたの俺なんだ 後アドバイスとして多種多様のオルゴールと店内が見渡しやすいようしろって言った」


レギスの純粋な疑問にそう答えたスウェルタ


店員「お待たせ致しました」


スウェルタ「ありがとう……レギス 視聴してて」


レギス「良いの?」


スウェルタ「良いから視聴できるか聞いたんだよ」


そう言ってスウェルタは店内をフラフラ散策


スウェルタ このオルゴール良さげだな………


ふと見かけた小さいエメラルドグリーンのオルゴールをスウェルタは手に取って見てみる


スウェルタ「(リラックス効果のある曲か……)」


オルゴールの音を聞いてみるとその曲はリラックス効果のある曲らしく少し心が和む


スウェルタ これより大きくて同じ曲………色は変わるがこれでいいかな………


等と思いつつレギスが別のオルゴールを視聴し始めたので、レギスが気が付かないようにそのオルゴールを手に取り自分のと一緒に会計


スウェルタ「そろそろ食事する?」


と会計を終えいい感じの時間になったのでレギスにそう言うとレギスは頷き店を後にする


客「あの人………デザイナーで評論家の「スウェルタ」って人じゃない?」


昼 和食店で食事をしていると客の1人がそう言い出してほかの人もスウェルタを見だす


レギス「もしかして有名人?」


スウェルタ「多少は でも余りテレビには出ない」


テレビには出ないが名前が有名なのでたまに出るテレビで名前をチェックされているのだろう


スウェルタ「…………」


レギス「(苛々し始めてる………)」


食事中は話をしないタイプであるのはレギスも理解したが何分苛々し始めている


スウェルタ「………食事の時くらい話すのはいいが騒がずに静かにしろ」


と言うスウェルタの怒気の交じる言葉に騒がしかった店内が普通の会話以外で静かになった


スウェルタ 飯の時くらい写真とんじゃねぇよ


スウェルタ「後盗撮してる奴ら いい加減にしろよ」


「気がついてないとでも思ってんのか」とスウェルタが言う


スウェルタ せっかく念願叶って姉さんと食事できてんのに………(#・ω・)


苛々を必死に隠しながら食事を終えてレギスに一言謝罪


スウェルタ「ごめん」


レギス「?」


スウェルタ「せっかく食事してるのに気ぃ使ってるでしょ?」


スウェルタの言葉は図星だったのかレギスが苦笑


スウェルタ「せっかく楽しみにしてたのに」ボソ


レギス「?何か言った?」


スウェルタ「いや何も」


1人呟いた言葉は本音だが聞かれたらまずいのでごまかす


スウェルタ「行こう」


食事を終えて会計を済まして店から出たまでは良かったが………外にはマスコミが………


スウェルタ「………(ブチッ)」


マスコミの質問の嵐でとうとうスウェルタから「ブチッ」と音が聞こえレギスが一歩後ろへ


スウェルタ「何でもかんでもスキャンダルにしようとしてんじゃねぇよ」


マスコミ「うっ」


スウェルタ「休日を誰と過ごそうが俺の勝手だ」


マスコミ「ですがスウェルタさんは結婚をしているんじゃ………」


と言うマスコミの言葉にスウェルタは武器を出しかけたがなんとか耐えた


スウェルタ「いつ誰が俺は結婚してるなんて言ったんだよ この指輪は女嫌いだから女避けであって俺は独身だ」


マスコミ「ですが仕事で女性と一緒になることはありますよね?」


スウェルタ「俺が仕事で1度でも女性の隣に座ったことあったか?確かに仕事で女性と関わることはあるが仕事でだけだ」


マスコミ「ないです………そうでしたか………」


仕事でも女嫌いを公言しているため仕事では女性の隣には座ることのないスウェルタ………それを一切知らないマスコミにスウェルタは呆れ顔しかできない


スウェルタ「これ以上取材をするようなら人権侵害と見なして訴えんぞ」


マスコミ「す………すみませんでした………」


スウェルタの言葉にマスコミ達はそそくさと退散していきレギスにまた謝る


スウェルタ「ほんとごめん………」


レギス「それはいいんだけど女嫌いなの?」


スウェルタ「まぁ基本的には レギスは大丈夫」


スウェルタ 女嫌いでもレギスだけは大丈夫なんだよ………


レギス「そうなの?」


スウェルタ「近くにいても嫌悪感がない かと言って「女性」として見てない訳でもない」


とそう説明しまた街をふらふらしながら夜にはオシャレな店でディナー


レギス「美味しい………」


スウェルタ「それは良かった」


スウェルタ わざわざレギスの好物調べた甲斐あったわ………


部下のカルスに調べさせたおかげでレギスの笑顔を見れて満足


レギス「お会計………」


スウェルタ「先払いで払った」


コース料理を予約した時にお金を先払いで払っていた為抜かりない


レギス「いたり尽くせり………」


スウェルタ「俺が誘ったから」


スウェルタ 半ばデートみたいになってるけど……


等と思いつつスウェルタとレギスは食事を終えて待ち合わせした場所まで戻ってきた


レギス「楽しかった」


本音から楽しいと思えた1日を満喫しレギスはすごく嬉しそうで、スウェルタは苛々することもあったがレギスの笑顔を見れて大満足


スウェルタ「そうだこれ」


レギス「えっ?」


スウェルタ「プレゼント」


スウェルタは実は隠し持っていた綺麗に包装されたオルゴールをプレゼントとしてレギスに渡す


レギス「良いの?」


スウェルタ「ああ」


レギス「ありがとう(>∀<)」


昔見たその笑顔を自分のプレゼントで喜んでくれたレギスにスウェルタは本当の意味で満足


スウェルタ「今度はショッピングに行こう」


レギス「喜んで」


スウェルタ「また休みの日分かったら言って?俺も休みつくるから」


レギス「分かった(*^^*)」


レギスにプレゼントを渡し笑顔を見れたスウェルタはその日はお開きになり別々の方向へ歩く




それが2人の本当の初デートであると知るのはまだ先の話………

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