第7話 巴琉2

私は今も彷徨っている。あなたを探して。

私は今も待っている。あなたが来ると信じて。

私はまだ、あの場所で。立ち尽くしたまま進めていない。


巴「こんにちは、カラスさん。今日も一人?一羽かw―あっ、・・・。はぁ。」


いつも一人で私はまだあの場所にいる。

だけど時々私は真っ暗な中に放り投げられる。

そこで私は立ち尽くして、一歩も踏み出せぬままいつも終るんだ。


今日もまた暗闇に飲まれて私は独りになった。

何処が終わりで何処が出口なのかも分からない真っ暗な部屋の中に私はいた。

そしてまた、あの時間を告げる無機質な声が響くのだ。


―6時になりました。良い子の皆さんはお家へ帰りましょう―


その時、真っ黒な壁が一枚、真っ紅に染まった。

まるで夕日が張り付いたような燃えるような真っ紅な色に。

その壁は扉になり、少しずつ色褪せていった。


「「開ければまた、会えるかもしれない―。」」


私の足は意識に反しピクリとも動かなかった。

あぁ、もうすぐ扉がまた闇に溶け込んでしまう・・・。

私は、燃える紅に飛び込んだ。


真っ黒な影が私の横を空気圧と共に通り過ぎていく。

目を開けたらそこには










君がいたんだ。










あの時と同じ。あの場所に―。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る