第4話 一回目のクラス裁判

...一階の建物の探索が終わり約1週間が経った。二階には行けないしとりあえず暇であった。

その時だった。みんなは食堂に集まり、1階に脱出の方法はないのかと話し合っていた。

話してる途中に「やっほー!」という声が聞こえ皆が食堂のドアを見た瞬間、ゴリが現れた。

「実はね、ぶっちゃけ僕は君達がコロシアイをしてくれないから暇になっちゃったんだよね。だから僕はあるものを用意しましたー!」

「あるものってなんだよ?」

「ムフフッ、それはまだ秘密さ、とりあえず今から視聴室に集合だよー!」

ゴリの声が聞こえなくなるとゴリの姿が消えていた。

皆は顔を合わせ、とりあえず視聴室に向かった。視聴室に集まると部屋の教卓に一人一人の名前が書かれていた、CDが置いてあった。

自分の名前が書かれたCDを手に持つと、ゴリの声が聞こえてきた。

「CDは持ったね?そのCDの映像をご覧くださーい!」

とりあえずCDを機械に挿入し、映像を見た。

「えーと、み、満、み、見てるかな?あんたの可愛いお姉さんだよ〜」

そこには僕のたった1人の家族、お姉ちゃんが映っていた。

「自分の弟がまさか希望星学園に入学するなんてね〜姉ちゃん嬉しいよ!身体を大事にね!あ、たまには家に帰ってきてよね!」

自分の家の映像を見て、一安心すると、いきなり砂嵐が起き、急に映像が変わった。そこにはボロボロにうち果てた僕の家の姿があった。

「な、なんだよこれ...い、今すぐ帰らないと...は、早く帰らないと...。」

周りを見たらみんな僕と同じ反応をしていた。

「す、すぐに帰らねぇと。。」

「わ、私の家族が...。」

等の声が聞こえてきた。

「フフフっ、皆CDの内容は見たね?どうしても外が気になるなら人を殺してここから出るしかないよねー!」

ゴリの声が聞こえなくなったら皆は自分の部屋に戻って言った。

もちろん僕もだ。お姉ちゃんはどうなったんだ...と気になり、今すぐ出ないとという気持ちがあるが人を殺すなんて僕には出来なかった。

そんな思いを抱きながら僕は眠りについた。

「えーオマエラ!朝の7時になりました。食堂に移動しましょう。」

アナウンスがあったが僕はとても動く気分にはならなかった。

「今は動きたくないのに...。」

でもきっと皆食堂にいるはずだと思い僕は動いた。

食堂に移動すると齋藤君、元杉君、山口君、恋水さん以外の人がもう集まっていた。

「あ、北谷、お、おはよう。」

「お、岡部くん...お、おはよう。」

その後に元杉君、恋水さん、斎藤君の順番で食堂にきた。

「後は山口のやつだけだな。」

吉山君が言った。

「誰か様子見てこいよ。」

将来くんが言うと、僕は気になるので見てくると言った。

「あ、じゃあ僕が行くよ。」

「待て、1人じゃ危ないじゃろう、ワシも行こう。」

参大君が付いてくれるようだ。

2人で山口くんの部屋までくるとノックした。だが返事はない僕は「入るよ

。」と言い、ドアの扉を開けた。ドアの鍵は開いてあった。

「や、山口くん...?」

僕が聞きながら部屋に入ると、部屋は物凄く荒れていた。ベットには赤い物が見え、壁にもその液体が飛び散っていた。

「や、山口くん!」

僕が大声で言い、部屋の奥に入った。そこで僕は真っ赤に染まった山口君の死体を発見した。

「や、山口...!」

参大君が驚くとすぐにハッとして食堂に向かった。多分誰かを呼んできたんだろう。

「そ、そんな...山口君が...。」

すぐに皆がやってきた。

「ひ、人の死体...。」

「これって山口のか...?」

「そうとしか考えられねぇだろ...」

「……」

急にアナウンスが流れた。

「えー山口達也くんの死体が発見されました。1時間後にクラス裁判を始めます。」

「こんな時に...!そんなふざけたことするのかよ...。」

加治龍君が言うと。冷静だった吉山君が口を開いた。

「おい、驚いてばっかり居ないで、山口を殺した犯人を探すぞ。」

この声に皆賛成した。それもそうだ、クラス裁判でクロを間違えれば僕達皆がお仕置きされてしまうのだから...。

皆は別々で証拠を探した。

とりあえず僕は凶器となるものを探した。山口君の部屋には恋水さんがいた。

「あ、北谷くん、君もここを探しに来たんだ。」

「うん、もし証拠があるとしたらここが一番探しやすいかなって。」

「そう。」

やっぱり殺人が起きた後のせいかよく話す恋水さんも余り元気が無かった。

見た所、凶器は胸に刺さっている包丁で間違いはない。だとすると犯人は食堂に向かっているのか...?

山口くんの死体を見ると赤い文字が見えた。

「これは...ダイイングメッセージか?」

「北谷くん、何か見つかったの?」

恋水に聞かれた。

「うん、これってダイイングメッセージかな?」

「...S0UJ0S0け...?どういう意味かしら...しかもけだけ平仮名...?」

他に証拠はないかと思い、部屋を探したらゴミ箱に血がついたバッチが入っていた。

「なんだこれ...?」

よく分からないがとりあえず持っておくことにした。次は食堂に向かった。食堂には前園さん、綿菓子ちゃん、齋藤君がいた。

「あ、北谷もここを見に来たのか?」

「うん、他に証拠がありそうな場所が無かったからね。」

「そうか。」

斎藤君を後にし、とりあえず証拠を探した。食堂の厨房に入ると、田中君が居た。

「主もここを見に来たか。」

「うん、田中くんは何か見つかった?」

「見つかったというかここを見てもらえないか...?」

田中君の指の先には包丁が置かれてるところを指さしていた。

「これがどうしたの?」

「この包丁の置き場からして包丁は元は5個あると思うだが。一つ足りないだろう?」

確かに、右から2番目の包丁がない...

「これも何かの証拠になるかも、ありがと、田中君。」

「クックックッ...我は当然の事をしたまでだ...。」

これまで手に入れた証拠は...。

山口君のダイイングメッセージ、謎のバッチ、田中君の証言の三つだけだ。これじゃ誰が犯人なのかが分からない...

次は1年1組の教室を見に行った。教室には岡部君が居た。

「……」

岡部君は無言で何かを探していた。僕は教室を歩き、ゴミ箱を見つけた。中には白いワイシャツの袖みたい物が入っていた。拾ってみると血が付いていた。

「これも証拠になるのか...?」

と思い、そのワイシャツを拾い教室を出た。

出るとアナウンスが流れた。

「えー1時間が経ちました。オマエラ!東側にある赤い扉に集合しろ!」

時間なので僕は赤い扉まで行った。扉にはほぼ皆が居た。

「北谷も来たな、後は岡部だけだな。」

少し遅れて岡部君が来た。

「悪い、少し遅れた。」

全員集まったので皆赤い扉に入った。そこにはエレベーターがあり、下に続くようだ。

下まで降りると16個の高い机があった。一番奥にはゴリが居た。

「オマエラ来たなぁ。じゃあ机の前に1人ずつ立ってくださーい!」

ゴリに言われみんな動いた。

これから第1回のクラス裁判を始めるのか。

「よし、じゃあ黒を探すための議論をしてくださーい!」

「議論をしろと言われてもなぁ。」

「何から話せばいいのかしら。」

「まずは凶器に付いてかしらね。」

恋水さんが言った。

「凶器は山口に刺さった包丁じゃないのか?」

「そんなの見れば分かるだろ?」

「いや、岡部君、それは大事な事だよ、凶器が包丁なら多分犯人は食堂に来ていることが分かる。」

「なるほど、じゃあ昨日食堂に行ったやつは誰だ?」

「昨日は私と幸子ちゃんの2人でずっと食堂に居たよ。」

「なるほど、前園さん、食堂に誰が来たか覚えてるかな?」

僕が聞くと。

「うん、覚えてるよ、確か、元杉君と岡部君の2人だけ。」

すると番山君が。

「なら、犯人は元杉、岡部、前園、綿菓子の4人の誰かじゃないか?」

「なんで私と彩お姉ちゃんが入ってるの!?」

「一応お前らも食堂にいたからな。」

加治龍君の言葉に僕は反論した。

「それはきっと違うよ。」

「何が違うんだ?」

「だって2人はずっと食堂に居たんでしょ?もし二人のどっちかが食堂から出たなら怪しいけど。」

「私達は食堂にずっと居たからそれはないよ!」

綿菓子ちゃんが言った。

「なら怪しいのは元杉と岡部の2人になるぞ。」

「いや、2人のどっちかが必ず犯人って訳じゃないだろ?まだ他のやつのアリバイがないぞ。」

将来君が言うと。

「ならまず昨日ずっと部屋にいた奴から答えてくれ。」

将来君のその声に僕、田中、斎藤、加治龍、番山、恋水、サキラの6人が手を挙げた。

「よし、その6人と綿菓子、前園を外した8人にはアリバイがあるな。」

将来君が言うと。

「じゃあほかの奴らはどうしてたか教えてくれ。」

と加治龍君が聞いた。

最初に元杉君が答えた。

「俺は昨日、食堂に飲み物を取りに行った後、惣之助と筋トレ室に居たよ。」

「それって何時から?」

僕は気になる点があった。

「確か6時半頃に食堂に行って、9時に解散したよ。」

「じゃあ岡部は解散した後はどうしてた?」

「お、俺は1回喉が乾いたから食堂で飲み物を取りに行って自分の戻って寝たよ。」

「なるほど。それって...」

僕が言おうとすると吉山君が。

「一番怪しいのは元杉じゃないか?」

「それはきっとないよ!」

僕が反論した。

「元杉君は多分犯人じゃないよ。」

「どうしてそう思うんだ?」

「彼がもし、犯人だとしたらそんな明るい時間に飲み物は取りに行かないよ。それに本当に怪しいと思うのは岡部くんの方じゃないかな?」

「は?なんでだよ、俺が犯人だと言うのかよ!?急になんで俺を犯人だと下手あげるんだ!?そういうお前が犯人じゃないのか!?俺が犯人だと言うんなら証拠を出せ!」

「その前に誰か、S0UJ0SUけと言う意味が分かるか?」

「なんだそれ、暗号かなんかか?」

加治龍君に聞かれると。

「これは山口君が死ぬ前に残したダイイングメッセージだ。」

すると一同が。

「だ、ダイイングメッセージ!?」

と言った。




4巻終了

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