おまけ②

「蓬ー!やったじゃん!恩田への告白成功してー!」


 告白大会が終わった後、百合子と一緒に購買でタピオカを飲んでいると、心が走ってやってきた。いや、告白成功もなにも、元々付き合ってるんですけど。


「よかったよ。ちょっと待ったー!ってやつ。面白かったわ。お腹抱えて笑っちゃった。」


 笑っちゃったと言いながら、心は今もお腹を抱えて笑っている。というかあなただって一臣にフラれた1人でしょうに。


「ほんと、あんたたちカップルは面白いよね。」

「私と千尋が?面白い?」

「面白いでしょ。そもそも、カップルになりそうにない2人が付き合ってる時点で面白いわ。」


 心は引き続きゲラゲラと笑う。最近の心は、雄一と笑い方が似てきたなあと思う。


「面白いってなによ、もー。」


 私が頬を膨らませると、百合子まで笑い出した。2人があまりにも笑うから、私までつられて笑う。なんだか色々なことがあった文化祭だけど、こうやって笑える時間になってよかったなと思う。


「よ!ちょっと待ったの有名人!」


 購買前のベンチで笑っていると、そこに担任の西野っちもやってきた。


「え!なんで西野っちも知ってるの!」

「俺も会場に居たからな~。最高に面白かったよ。やっぱりあそこで登場しないと山崎じゃないよなあ。」

「嘘~。最悪~。」


 すると、西野っちはにやにやしながら、ポケットからスマホを取り出して、私にその画面を見せてきた。そこには、私と一臣が千尋に向かって深々と頭を下げて手を差し出している瞬間の画像が映し出されている。


「ちょっと!なにこれ!写真撮ったの?!」

「可愛い生徒の可愛い瞬間は、カメラに納めたくなるよな~。」

「しかもこれ、待ち受けにしてるじゃん!消してよ!」

「だめだめ。これ後で恩田にも見せる。」

「やめて~。」


 西野っちからスマホを奪おうと手を伸ばすけれど、背の低い私はそれをあっさり交わされる。なんなら、おでこに手を置かれて、それ以上近づけないようにもされる。きいっ。


「お前らは本当に、良い友人を持ったな。最後の文化祭は楽しかったか?」


 すると、西野っちは急に先生っぽい態度を出してきた。こんなとき大人はずるいよなって思う。


「うん。最高に楽しかった。」

「穂高は?」

「楽しくないわけないでしょ。」

「お前はいつでもツンデレだなー。橋本は?」

「昨年までよりも一番楽しかったよ。」

「それは良かった。大事に心のアルバムに刻んどけよ。卒業まであっという間だからな。」


 西野っちがそう言うと、ぴゅうっと風が吹いたため私たちはスカートが捲れないように抑える。風を吸い込んだ空を見上げると、赤色の落ち葉が舞っていた。


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