第12話

朝起きると見知らぬ部屋。

でも、だいぶ慣れた。

両親と思われる人物とも話を合わせ、うまくやっている。

今日は休日、無理を言って高崎と会う約束をした。

しかし、この部屋には化粧道具がまったく無い。

しかもやり方も分からないので。

昨日、通販で買った、香水を着けてみる。

悪くない、やはり香りの薄目の物からで良かった。

高崎は気づいてくれるだろうか?

私は何を考えているのだ、高崎は私の呪いを解くためだけの関係。何だ……この気持ちは、分からない。

いや、認めたくない。

きっと記憶を失う前の私は何かに傷つき、恋とは無縁の生活だったはず。

この部屋と『レオナルド』のソロプレイがないよりの証拠。

はたして私に恋のできる資格はあるのだろうか?

右手は酷アザあり、何もしなくてもズキズキ痛む。

そして何より私は現実世界でもデータでしかない。

先日のNPCの事件で気がかりなのは、もしかしたら、私も『マナ』とやらに作られたのだろうか……。

少し事実を知るのが怖くなった。

私も無から作られたななら、『マナ』に簡単に消される存在間のかもしれない。

これ以上はやめよう、クエスト『運命の選択』と『デスゲーム』だけ考えよう。

そのために高崎が協力してくれているのだから。

時間だ、高崎に会いに行こう。待ち合わせは駅前のWバーガーここで昼ごはん、そのあとは決めていない。

いや、分からない恋人同士で無い以上デートと言う訳でもなく。

もし、恋人同士なら、高崎に決めてもらうか?

ダメだ、ダメだ、そんな対力本願だから記憶を失う前は孤独な生活だったのだろう。

しかし、少し早く来すぎたか。時間が長く感じる。

そして、5分ほど、遅れて高崎が現れる。

「お前、私をバカにしているのか?何故、遅刻した、失礼な奴だ」

「すまない」

うぅ、また、言ってしまった。

何故素直に会えて嬉しいと言えないのか、私は本当に不器用だ。

「とにかく。飯だ、話はそれからだ」

「お、お、う」

私たちは店内に入り注文をする。

そういえば部屋に有った小説にファーストフードの食べ方の分からない、お嬢様さまが出てくる小説があったな。

少し、試しいてみるか。

「おい高崎、この店の食べ方はどうするのだ?」

「アホか、前の人見れば分かるだろに」

「うぅ、すまん」

ダメだ、完全におかしくなっている。何故、高崎の前だと素直になれない。

確かに記憶を失った、時はこの店の食べ方が分からす苦労したが。

何度か来てしまえばなれる物だな。

とにかく注文をして、席に着く。

それで高崎には好きな人がいるのだろうか?

この機会に聞きたい。

「で、だが『レオナルド』は『マナ』と呼ばれるシステムで動いているらしいがこれからどうする?このままクエストをクリアし続けるか、GMのマミに相談するか?」

やはりゲームの話か。

「部外秘だと言ったのはお前だろう」

「確かにゲームのシステムまでとなると、マミでさえ知らない可能性があるくらいハイレベルな問題、打つ手なしの状態だ」

「しかし、人魚姫のクエストで『ブルーバイブル』の情報が得られたのは事実では」

「確かに、情報屋の爺さんを使って『ブルーバイブル』だけでも謎を解くとしよう。決まりだ。今からインして情報屋に行ってみよう」

「あぁ……」

「どうした?不満か?」

「いや、もう少しここに居ないか?」

「何故?」

「そんなことは、どうでも良い、ただ、ゆっくり、ご飯が食べたいだけだ」

何故だ、何故素直にリアルで遊びたいとう言えない。

あと、ほんの少しだけ勇気があれば……。

「分かった、俺はコーヒーをもう一杯注文してくる。藤野はどうする?」

「私も頼もう」

「なら、ついでに注文してくる、コーヒーくらいおごってやるよ」

「ありがとう」

そして、コーヒーを飲み終わり、店を出る。

帰り道。せっかくリアルで二人きりになれたのに、私は――何故素直に好きと―――分かっている。

今の自分にその資格がないということも。

せめて、呪いが解けたその日には……。

ダメだ、考えただけでも、胸の鼓動が止まらない。これが本当の恋わずらいか、

なにを納得しているのだ。高崎くらい落とし当然と、うぅぅぅぅ無理だ。

帰ろう。

本当に私は不器用だ。

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