第10話

今日は情報屋に来ている。機密情報の連絡があり、こうして出向いているのである。

「爺さん、何か情報が入った?」

「クエスト『癒しの泉』が、どんな呪いも解けるとの情報を得たから行ってみては?」

呪解きか……。

普通の呪い状態は時間回復なのにあえて呪いを解くクエストか、これは何かの材料になる可能性が高い。

「ありがと、報酬は多めに払うよ」

「まいど」

俺たちは首都ベネチアノを後にし、熱帯はフィールドにたどり着く。

「この熱帯雨林の中を探さなくてはならないのか……」

仕方なく、少しずつ探ししかないか。

「藤野、このフィールド内はトラップがあるから気を付けて」

「はい」

「特にヒル系のモンスターは厄介だからね、一度漬かれと猛毒状態になり。回復が難しい」

「了解した、気を付ける」

俺たちは、少しずつ進む。案の定、藤野はヒルに付かれ、途方に暮れている。

すると、妖精ジョブのプレイヤーが近づいてくる。

「こちらに連れてきてください」

どうする?ついていくか???藤野の状態から考えて迷っている暇はないか。

「分かった、すこし手伝ってくれ」

二人で藤野を運ぶ、すると湖のほとりに連れていかれる。ここはひょっとして、ここが目的地?

「すいませんが、ここが、クエススト『癒しの泉』ですか?」

「そうです、クエストと呼ばれていますが、ただの泉です」

「ただ、このフィールドの特性上、どうしても、毒になる人がいて、必然的に実装されたらしいですよ」

「そうか、外れか……」

藤野は泉につけると、体についていたヒル型モンスターが消えていく。

「うぅ―――私は……どうなっていたのですか?」

「気にするな、少し休め」

「あぁ、もう少し休む」

「ありがとう、君のおかげで、連れが助かった。せめて、名前だけでも」

「私は『リン』申します」

「俺はアズラエルです」

うーん、NPCでもないようだが、バイトのGMなのかな、その結論を得たのは、

一にこんなイベントもないような過疎地に定住していること。

二はこれから試してみるか……。

「頼みがある、この相方の『ルシファー』の右腕を見てくれないか?」

「はい」

横になっている藤野の腕をまくるとリンの表情が変わる。

「これは私には治せないです」

この反応は、明らかに何か知っている。一般のプレイヤーでこの反応はおかしい、やはりGMか……。

さて、どうする。

まずは『レオナルド』内での役割を探るか。

「やはり、GMですか?」

「隠してはいなかったのですが、ばれてしまいましたね。私は足が不自由でこのようなアルバイトしかできなくて」

リンは恥ずかしそうに顔を赤らめる。

うーん、アルバイトか、情報を得るには難しいかもしれない。

ここは、少し素直に藤野の事を頼んでみるか。

そもそも、妖精系は回復系に特化しているジョブ。

さらに特殊能力が有りそうだ

「リンさん。もう一度、頼む」

「分かりました」

リンは藤野の右手に手をかざすし、両手が光り出す。

しかし、なのも起こらずそのまま光は弱まっていく。

「やはり、ダメか、色々ありがと、俺たちはしばらくしたら、ここを出ていく」

すると……。

いつの間にか、動物たちが集まってくる。

「あらあなた、怪我をしているじゃない」

一匹の猫が足を引きづっている。

「おいで……」

猫はためらうことなくリンに近づいていく。

そして、リンは猫に手をかざしと、光を放つと猫の傷は見る見る良くなる。

そして、他の動物たちも、リンになついているのか、動物たちは体全体で愛情を表現し、舌を出してじゃれつく。

「あは、あぁは、くすぐったいよ」

さつばつとした『レオナルド』で珍しい光景である。

ジョブはその人の心を表すと言うが、ここまでリアルの性格を表す珍しい例である。

この光景は心も癒す気がする。

これが彼女の特殊能力か……。

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