第5話

「集まった情報は伝書バトで頼む」


 この『レオナルド』ではメールのやり取りを伝書バトの形式で行うもちろん確実に届くし時間もかからない。

 ただ、アナログな形をとるのは運営側のセンスなのだろう。

 そして、砂漠のオアシス都市『サザン』に向かう俺たちだった。

 都市間の移動には、転送の魔法陣が必要で、大体の各都市に設置されている。

 俺たちは、『ベネチアノ』の転送の魔法陣で『サザン』に向かうため、街の中を 歩いていると一人の少年が現れる。

 ジョブは『鬼神武将』素早い攻撃を得意とする、前衛系のジョブである。


「やあ、アズラエル元気だったかい?」

「俺はお前に会えて元気が無くなったぞ」

「相変わらず、口が悪いね、早く俺の刀の錆にならなか?」


 この鬼神武将はやばいプレイヤーである。名前は『陣』俺と同じソロプレイヤーで腕の立つプレイヤーを片っ端からPKことプレイヤーキルを楽しみにしている危ないやつである。この『レオナルド』は通常フィールドではPKは出来ないが、言 葉たくみにPKフィールドに誘い込みPKを楽しんでいるプレイヤーである。

 俺も狙われているので、こうやって時々出くわすのであった。


「ところでアズラエル『ブルーバイブル』を手に入れたのだってな」

「何のことかな?」

「ふ、俺もこのゲーム長くてよー、情報屋の弱みくらいは握っている」


クッ鼻で笑いやがった。さすがに情報屋の爺さんもこいつには勝てないか……。


「それで、『ブルーバイブル』を手に入れたてして、お前に何の関係がある?」

「俺も『運命の選択』には興味が有ってな、俺の願いはもっとプレイヤーを切れる力が欲しくてよ」

「そうやって、PKフィールドに連れ込もうっていうのは分かっている」

「そう冷たくするなよ、どうだ、組まないか俺と組めば五星でさえも怖くないぞ」

五星か、この『レオナルド』五本の指に入る強ギルドである。

「お前と組むくらいなら五星の手下になった方がましだ」

「そう言うと思った、やっぱりお前は俺の手で二度とインできなくなるほど八つ裂きにしてやる」


 そう言うと陣は去っていった。


 そして、転送の魔法陣にたどり着くと早速使用して『サザン』 

に向かう。

 しかし、着いたのは、『サザン』近くの池のほとり。


「これはどうゆうことだ?」


俺たちはその疑問に答えをだせないでいた。


「仕方ないので歩いて『サザン』向かおう」


すると様子がおかしい。黒い霧の様な物が立ち込めている。

町に入ると人影が無く、雑魚モンスターがウロウロしている。


「これは?」


 俺は急いでクエスト表をみる。

 確か、この町のクエストは『古代ミイラの秘密』のはず。

 そこには、『サザン陥落』のクエストが、

 おかしい、普通ここまで大きなクエスト変更なら、事前に告知があるはずなのに……。

 うん?

 誰かいる、プレイヤーだ。

 ゴスロリ系の服装の女の子である。

 ジョブは魔道書使い、簡単に言えば魔法使いである。

 すこし、話かえてみよう。


「あのーこれはいったい、どうゆうことですかね?」

「それがさ、気楽にクエストをクリアしに来たらこの現状、私も何が何だか分かんない~」


見た目はゴスロリでも、喋り方は、今風?いや少し前の感じがする」


「俺はアズラエル、こっちはルシファーだ」

「わたし~は『マミ』です~それより、君たちも、こんなつまらないクエストはやめなよ~」


どうやら空振りだったか。

うん?この子?レイピアを装備している、もしや。


「藤野、少しこの子と二人だけで話をしたいのだが、今日は落ちでくれないか?どうせここのクエストは関係ないみたいだから」

「何?ナンパなの?」

「あぁなんて言ったら良いかな、少し『サザン』のクエスト変化について聞きたいことがあるのだが、たぶん、中身は男だよ」

「ふーん、プライベートは干渉なしで良いの?」

「なら、本人に聞いてみようか?」

「あの~まる、聞こえなのですけど~、いちお~、中身も女性なのですが~、この『サザン』ついて話があるなら~、聞きましょう~、相方さん大丈夫~、ナンパされても断るから~」

「分かったわ、今日は落ちるわ。また、明日学校で」


藤野は不満そうにゲームから落ちる。


「さて~相方さんを落としてまで私をナンパしたいの~」

「これかは、大人の話だ。GMことゲームマスターさん」

「なんのこと~?」

「とぼけても、無駄だよ、そのレイピアが証拠」

「なんで~?レイピア装備でGM扱い~、考えられない~」


あいかわらず良く分からない喋り方をするが、

 

「この『レオナルド』で、レイピアは中クラスの武器だが、ある特殊能力がある。それはかなりの低確率の製錬つまり武器強化を数えきれないほど行えば、最強の武器になる設定で、何故このような武器が存在しているかと言うと、弱プレイヤーを演じる、GMの為に作られた武器だと、俺は仮説を持っている。」

「さすがね。ソロのスペシャリストの『アズラエル』さん」


魔道書使いのゴスロリ少女の喋り方が変わる。


「それでGMさんが何でこんな場所で隠密行動しているのかな?」

「見ての通り『サザン』の調査よ」

「そうか、せっかく、普段会えないGMさんだ聞きたいことがある。『運命の選択』について知らないか?」

「残念だけど言えないわ、というより言うことが不可能なの、GMでもゲーム内では1プレイヤー。クエストの事には逆らえないの」

「そうか」

「それから、これは忠告よ、今、『レオナルド』内で『デスゲーム』なるクエストが発生いているの。クエストのクリアに失敗するとリアルで死ぬわ」

これはどうゆうことだ?


 クエストを作る側の人間が忠告?

 これではまるで運営がゲーム内を管理できてないことになる。

 『運命の選択』のクリア者がでるくらいだから、この『レオナルド』ないで何かが起きている。どうする、藤野の事を話して、情報を得るか?いや、こちらのカードが弱い、とぼけられたり、嘘を言われても仕方ない状況。

 そもそも、リアルに影響がでるのだから『デスゲーム』と『運命の選択』は関係があると考えるのが普通、ここは『デスゲーム』について協力して、GMを味方についた方が良いな。


「忠告、ありがとう。俺もこのゲーム内の事は詳しい方、どうだろう協力して『デスゲーム』とやらを一緒に調査しないか?」

「リアルでの死を忠告してもなお、協力?そちらも訳ありか。良かろう、一個人として協力を受けよう。だが、GMとしはルール違反、そちらが望む物がなくても、良いならの話だ」

「もちろんそのつもりだ」

「さすがだ、ソロで有名になるくらいだ、それなりの覚悟でこのゲームをやっているな」

「あぁ」

「そうか、今日のところはこれで終わりだ、お互い空振りだった様だからね、私は先に落ちさせてもらうわ」

「分かった」


どうやら、この『レオナルド』まだまだ謎の部分が多いようだ。


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