第4話

「まずは、クエスト攻略の基本、情報収集から始めよう」


 この『レオナルド』にはネットにアップされない様な、コアな情報を扱うプレイヤーもいて、その情報網はリアルの諜報機関並みである。

 そもそもこの情報屋の存在自体。

 一部のプレイヤーでなければ知らないのである。

ネットゲームでもそうだが最新の情報は命である。

ゆえにこのような商売が成り立つのである。


「分かった、行こう」


俺たちはまず首都『ベネチアノ』の情報屋を訪れる。

裏路地の初心者向けのアクセサリ屋の中にその人物はいつも居る。

 ごく初心者しか来ないこの店は事情を持った者のねぐらとしては最高の場所である。


「よ、爺さん、久しぶり」


アクセサリー屋の中のすみで椅子に座りコーヒーを飲む老人のキャラが情報屋である。


「お、これはソロで有名な『アズラエル』じゃないか、珍しいペアパーディーを組んでいるのかい?」

「まあ、色々あってね」

「おっと、この業界どんな小さなことででも、売れるかね。どうだい、口止め料払うかい?」

「爺さんにはかなわないな」

「まいど……で、どんな情報が欲しいだい?」

「『運命の選択』についてないか無いか?」

「『運命の選択』か、どうゆう風の吹き回しだい?」

「ちょっとね……」

「その様子だと何かつかんだね、口止め料高くつくよ」

「かんべんしてくれよ……」

「冗談だ。さて、『運命の選択』についてだか、一般的なこと以外はここでも、無理だね」


やはり、ここでも無理か。しかし、せめて何かヒントになる情報が欲しいな。


「なら、『不老不死』について何か知らないかい?」

「『不老不死』、か……『運命の選択』のクリア報酬として有名だね。砂漠のオア

シス都市『サザン』に似たようなクエストがあるらしい、それくらいかな」

「最後に、これは爺さんだから見せるけど、ある物を見てくれないか?」

「まさか、あれを見せるのかい?」

「あぁ、この業界、リスクは付き物、人並み以上の情報が欲しければこちらの手の内を見せることも必要だ」

「分かった」

「おやおや、何か面白い物が見られるのかい?」

「あぁ、とびっきりのやつだ、藤野頼む」

「『アイテム・ブルーバイブル』」


 ポンと空中から青い本が現れる。


「これは!まさか……」

「そうだ、『運命の選択』のクリア条件の一つ『ブルーバイブル』だ。ただし、使用済みか偽物だが」

「どれ、見せてくれ」


 爺さんは子供がおもちゃを買ってもらったように、すごい関心をしめし、端から端まで見入っている。


「ほーう、確かにこのアイテムは初めて見る―――わしもこの業界長いから、どんなレアアイテムでも、見るだけなら、ほぼすべて見てきたつもりじゃ」

「ということは?」

「おそらく本物……本が白紙なのは使用済みの可能性があるね」

「そうか、白紙なのは使用済みと、爺さんもみるか」

「これをどこで?」

「さすがにそこまでは言えない、ありがと、本物だと分かっただけでも、こちらとしては、満足している。うん?まてよ?爺さんわざと、この情報流してくれないか?」

「なにを言いだす」


藤野が慌てて会話に割り込んでくる、藤野も驚いたのだろう。


「もちろん、俺たちが持っていることは伏せてもらう」

「何を考えている?」

「つまり、情報操作だ、本物の『ブルーバイブル』が出てきたとなれば、多くのプレイヤーが、必死でクリアを求めるだろ、その情報をこの爺さんから貰う」

「なるほど」

「良いだろ爺さん。爺さんにとってもおいしい話だ、爺さんは大量にこの情報を売ることが出来る、その見返りに俺たちに優先的に情報をくれないか?」

「怖い、怖い、さすがソロで名が通った『アズラエル』じゃ、このわしを完全に利用しようとしている。じゃが、これは大きなビジネスチャンス。素直に提案に乗ろう」


「商談成立だ、とにかく、爺さんは本物の『ブルーバイブル』が見つかったと流してくれ、そして、優先的に『運命の選択』の情報をくれれば良い」

「あいよ」


 爺さんが気持ちよく返事をする。

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