第26話 「勇者の覚悟」
エンシェントリッチはメテオストライクをみて叫ぶがフィーの放ったメテオストライクに手を向ける。
『演技はこの程度でいいか』
エンシェントリッチが言うと、メテオストライクを結界内に封じて空高く上げて空中で爆破させた。
それを見たフィーは杖を離し、地面に膝を着けた。
「う……そ……」
あまりの出来事に信じられず、その場に膝を着けて現実を直視出来ないフィー。
『フハハハハハ!! 惜しかったな、魔法勇者』
「な、んで……どうしてッ!!」
エンシェントリッチはフィーに指を差し、
『お前、そのメテオストライクは手にれたばっかだな?』
「――ッ!」
『図星か、見れば分かるさ。大きさが違うんだよ、大きさが』
それを言われたフィーは悔しくなり、地面を思いっきり殴った。
『おいおい、そんな悲観するな。安心しろ、お前は才能がある。だから、殺した後、すぐに私の配下に置いてやるからな、光栄に思え。フハハハハハハ!!』
それを聞いたフィーは俯いて悔し涙を流しながら食いしばった。
「ぐぅ……ァア……!」
他の勇者三人組みはフィーの側でかたまってエンシェントリッチを睨む。
そして笑いながらエンシェントリッチは勇者御一行に近付く、リンは腕の骨が折れているのか、左腕が垂れ下がっている。
ルキナは腕を動かすのが限界なのか、ボウガンを震えながら構えた。
『安心しろ、一瞬だ。一瞬で全てが終わる……ん? この光景は、どこかで見たと思えばそうか、フハハハハハハ!!!!』
急にエンシェントリッチは立ち止まり、大笑いをし始めた。
『そうか、思い出したぞ。この光景、北にあった街にいた冒険者がまさにその光景そのものだ。あそこは中々手応えがったな。特に、騎士がいてな。そいつが中々強くて私のデコイもそいつ一人に苦戦したが、私自身とでは張り合う事は出来なく、街は壊滅させたがな。フハハハハハハ!!!!』
それを聞いたティアは旗を強く握る。
「……ない」
『ん? なんだって?』
俯きながら小さく言うティアの言葉を聞き取れなかったエンシェントリッチは聞き直す。
「……ッ!!」
ティアは立ち上がり、エンシェントリッチを睨む。
「だ、めッ……!」
「ダメよ、ティア!!」
「やめろッ! 戻れティア!」
ティアはボロボロになった勇者三人組みの言うことを無視し、旗を小さくしてから、腰に下げていた剣抜き、エンシェントリッチに突っ込んだ。
「許さない!! お前だけは、絶対に許さないッ!!」
と怒りながらエンシェントリッチに剣を振りかざして切ろうとした。
エンシェントリッチはそれを受け止めて掴んだ。
『なにを怒っている? この話を聞いて怒っているのか? そこまで正義の心があるのか? お前には』
「お前が壊滅させた街は……」
俯き歯を食いしばり、怒気を込めて言うティア。
「私の故郷だッ!!」
『――!!』
その瞬間にティアはパリィを行い、エンシェントリッチの手を離させた。
「ハァッ!!!!」
そして、パワースラッシュを放ってからゼロ距離ブレイドスラッシュを放ち、斬撃と衝撃刃を放った。
しかし、エンシェントリッチはその攻撃を全て障壁によって防ぐ。
『無駄だ。今の私の障壁は貴様らでは突破する事は出来ない。大人しく殺されろ』
「フッ!!」
ティアはエンシェントリッチの言う事を無視し、今度は腕に装備してあった盾でシールドバッシュを放つ。
『無駄だと言っている』
エンシェントリッチは呆れながら言う。だが、ティアは旗を大きくし、棒スキルの打撃乱舞を行う。
その後、ティアは後ろに下がり、旗を両手で持って後ろに少し引いてから突っ込む。
ティアは槍スキルのソニックスピア。突進して突き刺すスキルを使い、エンシェントリッチに放った。
「はあああああああああああああ!!!!」
叫びながら突っ込んで来ているティアを見たエンシェントリッチははぁ……とため息をつく、
『無駄だと言っているだろう?』
言って真正面から来てるティアに諭す様に言い、ティアの持っている旗の先端が障壁に当たった瞬間、
「この瞬間を待っていたんですッ!!!!」
『――!? グゥオオオオ!?」
ティアが言った瞬間、エンシェントリッチの障壁が破られ、先端がエンシェントリッチに突き刺さった。
障壁を破ったティアは攻撃を受け、後ろに後退りしているエンシェントリッチに追い打ちを掛ける。
旗で斜めに切ったり、横に切ったり、突いたりしてエンシェントリッチに猛攻する。
棒スキルの打撃乱舞を行い、最後の一撃をパワースラッシュを放ってから、態勢を崩したエンシェントリッチにティアはクリティカルブレイドでエンシェントリッチにダメ押しをした。
「ハァ……ハァ、ハァ……」
今の猛攻で息が上がるティアにその場に膝を着けて胸の辺りを片手で押さえるエンシェントリッチ。
「ハァ……一点集中攻撃。いくら……硬く、ても……一点のみを……攻撃し続ければ、脆くなる……」
と息が上がった状態でティアは地面に膝を着けているエンシェントリッチに説明した。
『フハハハハ!! 素晴らしい、面白いぞ。勇者よ。だが……』
エンシェントリッチが、だが、と言った瞬間に殺気を感じたのか、ティアは後方へ後退した。
『私を怒らせたようだな。小娘……ッ!!』
「キャアッ!」
エンシェントリッチはティアを魔法で吹き飛ばし、勇者3人の元まで吹き飛ばす。
エンシェントリッチは立ち上がって指を空に差すと、一本の黒い光りが空に上がる。
それを見たフィーは、
「まずいッ……止めて!」
勇者たちに言うが、
『遅い……!』
エンシェントリッチが勇者御一行に言うと、街全体を黒い結界で覆った。
『固有結界。ナイトメア・デス・ワールド』
ワインレッドとどす黒い結界に閉じ込められ、建造物もワインレッドとドス黒色に染められ、それを勇者御一行は辺りを見回す。
「なんですか、これ……」
「き、もち、悪……い」
「これが……」
「固有結界ッ……!!」
勇者御一行は固有結界内に閉じ込められ、周りを見ながら言う。
『さぁ! ショータイムだァ! この結界は建造物は残り、人間は私が指定した奴以外は、存在しないッ! そして、この世界で私は自分の持つ兵を召喚し放題だッ!!』
と両手を横に広げて言うエンシェントリッチ。
「どういうことですか……」
「私達は固有結界に閉じ込められたの、私達以外はこの世界には存在しない、世界にッ……!」
フィーが説明すると、エンシェントリッチは拍手をする。
『素晴らしい。その通りだ、魔法勇者。では、君たちには最大の敬意を評して――』
そういってからエンシェントリッチが指パッチンをして音を鳴らした瞬間、地面から無数の魔方陣が展開される。
そこからモンスターが召喚されて行った。
『私の持っている全戦力で君たちのお相手をしよう!! 数は――』
エンシェントリッチが言うと、最後のモンスターの召喚が終わり、
『3000だッ!!』
無数のモンスターを目の前に勇者御一行は絶望し、後ろに後退る。
『逃げようなんて考えは捨てろ。貴様らはここで殺される。ただ、殺すのはヌルい……お前たち! 勇者共を捕まえ、私の前に連れてきた者はその場で勇者を好きな様に扱うが良いッ!! 性処理、日頃の鬱憤、捕食様々な事を許そう!!』
それを聞いたモンスター共は歓声を上げて、勇者御一行を見始めた。
『状態はどんな状態でも構わない。ただ、その場で殺すな。私の前で好きにしろ。良いな……?』
また、歓声を上げモンスター共の士気を上げたエンシェントリッチ。
モンスター達は勇者御一行を見るなり、目が血走ってるモンスターまでいた。
それを見た勇者御一行は、後退りをしたが深呼吸をしている。そして、深呼吸が終わると、勇者御一行は武器を構えた。
「私達は……勇者です……!」
「ひか、ないッ……!!」
「……ポーションは後三つ。なら、余裕よ」
「私達は……死なないッ」
意を決した勇者御一行が言うと、エンシェントリッチはフッと鼻で笑う。
『最後まで抵抗するか、良いだろう。者共ッ! 行けッ!!』
エンシェントリッチが言うと、3000のモンスター共が勇者御一行に向かって走った。
それを見た俺は、ニッと笑う。
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