第2話 「スパルタンでも作る気ですか?」


 俺はそこでこの世界の事を教えて貰った。昔人と人との戦争があったりなど。そこで実感がわく、どうやら俺は異世界に居るようだ。それだけで無く、レベルと言うのも存在するらしい。

 本当にファンタジーあるあるを体験しているよ、俺。

 お金はG《ギル》。これは日本と変わらぬ1G《ギル》=1円。この世界の文字は俺は読むことが出来ず、そこは全く違う文字もあった。日本語や英語は本によってはあったりなどしている。


 ここでノリスさんはスキルと言うものとアーツを教えてくれた。スキルは武器を装備し、他人に教えて貰う事で習得可能。そしてスキルランクが(仮)~EXまで存在し、(仮)まだ未習得、E習得でまもない、それからD、C、B、A、A+、Sと上がり、ここからが難しく、上がりにくい。

 それがSS、SS+、SSS常人はSSが限界で、天才で、SS+とSSS。ただSSSは稀代の天才でも難しい。最後はEX。まず、到達がほぼ不可能とされている。


 そして、アーツは手に入れたスキルを一定の数値の修練を超えた時に手に入る技の事らしい。

 だが、スキル習得可能となるがこれは仮の状態で、最初はスキル習得の修練をしなければ完全に自分のスキルにすることが出来ない事。

 俺はノリスさんに言語翻訳スキルを教えて貰い、読めなかった本を渡され、それを朧気おぼろげながら読む。間違った所はノリスさんが教え、それを少しづつ直しながら音読に成功する。

 すると、頭の奥がスゥーっと何故か一瞬軽くなった。軽くなると、先程まで読めなかった本のタイトルすら読めている様になっていた。俺はつい嬉しくなり、


「すっげぇ! ノリスさん! これ読めますよ!!」


 とノリスさんに向かって歓喜の声を上げながら言う。


「そういえば、勇軌。お前は自分のステータスカードはどうなっている?」


 嬉しくなっていた俺にノリスさんはまた分からない事を言う。

 俺は首を傾げて顎に手を付けて考えた。


「……何ですかそれ」


 結局分からず聞く俺。そんな俺を見たノリスさんは面白かったのか、爆笑しながら俺に近づく。


「フアッハッハッハッハ! ステータスカードはお前の中にあるんだ。だから、念じればカードは現れる。だから念じてみるんだ」


 ノリスさんに言われた俺は出てこい。と念じてみると俺の中から一枚のカードが出て宙に浮いている。それを俺は手に取り、ステータスを確認した。

 真藤和馬。15才。レベル1。筋力D、知力C、俊敏力E、器用さC、魔力D、運D。職業、無職。スキル、言語翻訳(仮)、観察眼B。スキルポイント2。と書かれたカードを俺は見る。

 分かってはいた。職業無職……無敵の職業を略して、無職って事だよねッ!! フリータじゃないもんッ!! 自分の中で強がっているとそんな俺のカードを横から見たノリスさん。


「……そうか、君はこの世界の子では無いのか」

「え!?」


 えぇー!? なんでこの人分かっちゃったのー!? すげぇ俺驚いてるんですけど!?

 そんな驚いてオドオドしている俺にノリスさんは何かを決心した様な感じで俺を見る。


「勇軌君、君は私の弟子になりなさい。この家で過ごすと良いさ」

「え、えぇえええええええええええええ!?」


 もはや何故俺がこの世界の住人では無いことが分かったのか説明も入らず、突然弟子になれと言う事で俺は驚くしかなかった。

 そんなこんなで俺はノリスさんを師匠と呼ぶことになり、師匠の元で暮らす事になり……様々な事を教えられた。そもそも、師匠の職業は何なのか、と思い師匠に聞くと「薬師やくしだ」と答えてくれた。

 その職業を教えて貰っている中、俺は空気椅子をさせられ、手には2キロ位の重りを付け、両腕には腕が下がった時に刺さる様にナイフが付けられ、下げる事を許されぬ状態で聞く。


 身体も固い俺は柔軟を4時間ぶっ通しでさせられ、異常な位の柔軟を手に入れる。

 俺はまず魔力が少ない為、魔力ポーションの大量摂取により起こる魔力暴走による魔法で魔法を使える様になった。この時俺は一瞬だが、自分の身体を上から眺めていた、何て事は言えない。

 器用さを上げる為、師匠のやっている薬草学、ポーション調合、医術をひたすらに叩き込まれた。

 何度も脱走を図ろうとしたが、周りはモンスターが出てくる事が分かっていた俺は脱走を許される事は無かった。それから7ヶ月が経ちある程度強くなり、ステータスカードを見る俺。


 レベル21。筋力B、知力A、俊敏力B、器用さA+、魔力A、運D。スキルポイント22。器用さは薬草学、医術、ポーション調合で散々鍛えられてきた。薬草学は抜き方を間違えれば腐る草、毒素が強くなり調合に向かない草など様々だ。医術は繊細且つ迅速に、ポーション調合はちょっとでも分量を間違えれば失敗する。

 俺はポーションって本当に爆発するんだ。と初めて知った。爆発した時は師匠が守ってくれたけど、あれは本当に危険だと身体を通して感じた。危険だと感じたのはそれだけでは無い、魔力ポーション大量摂取の時なんかは拘束され、強制的に飲まされた挙句、魔力暴走で魔力が物凄い勢いで体から放出されている間に更に魔力ポーションを飲まされた。


 その末に手に入れた魔力だからなッ!

 何はともあれステータスは当初よりまともになり、スキルも当初より増えた。

 スキルの言語翻訳S、魔力回復能力向上B、観察眼S、毒耐性S、魔力暴走耐性S、薬草学A+、ポーション調合A、医術A、闇魔法E。アーツは、一度幽体離脱際に手に入れたと思う、ソウルブレイカーE、死霊召喚E、取り憑くE。こんなものですな、これ完全に黒魔道士フラグだな。


「勇軌、そろそろ武術や戦いを教えよう。外に出ておけ」


 自室の机のに座ってカードを見ていた俺に師匠は後ろから言ってから、扉を閉めた。

 また、キツイんだろうな……と思うと欝になる。だけど、逃げることは出来ないので俺は、


「今行きまーす」


 と返事を返すしか無かった。

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