自由奔放な《 》と勇者
神蔵悠介
第1話 「ようこそ、異世界へ」
人は死んだ時、何処へ行くのか。それは神のみぞ知る事であり、人間には知る余地もない。
この日、また一人死んだ。
それは俺だ。そして天国、はたまた地獄かそれは行ってから分かる事。
俺は
死因はガンによる病死、まさかこんな形で人生に終焉を迎えるとは思っても居なかった。
はっきり言えばまだまだ生きたいと思った。しかし、もう死んでしまったから元には戻れない。
さて、先程話した通り俺は天国か地獄どちらに行くのか、それが気がかりだ。
でも、俺自身犯罪を犯した覚えは無い。だからこそ天国に行けると思う。
そう思っていると一筋の光りが差し込み、俺はそこへ向かう。
そして光に包まれた俺は眩しくて目を
完全に消えたと思うと俺は何処かに寝ている感覚を感じ、目を覚ます。
するとそこは、
「……すげぇ綺麗な青空だな」
目の前は木々の間に見える青空があった。俺は身体を起こし、辺りを見渡す。
「……森? 未開の土地群馬かな?」
んな、馬鹿な。と思い、俺は何時もどおりポケットに手を伸ばした。
「あれ、スマホが無い……って当たり前か、俺死んだんだからな」
ん? 死んだ? なら、何でこんなに空気を感じたり地面に生えている草に触っている感触もあるんだ? もしかして、俺はファンタジー系のお約束の何処かに飛ばされたパターンか?
そう考えると、今の現状の全てが一致した。だが、現状が分かってもここが何処なのかは俺は全く知らない。さて、どうするか。の問題だ。
そう考えていると、近くの茂みからガサガサと木々と葉を揺らした音が鳴り俺はそっちの方へ視線が向く。
向いたその時だろう、逆方向からまた音がした瞬間、
「ライトニング」
そう聞こえた瞬間には俺の顔の横を稲妻が走った。
「ギャン!」
一瞬の稲妻が走った後、背後から犬の様な鳴き声が聞こえた俺はそちらの方へ向く。
「な、何だコイツ……犬ではない……狼?」
そこには緑色の毛色をした狼の様な存在が倒れていた。これはウルフって類の魔物の可能性がある。と思う俺。
「大丈夫か? コイツはグリーンウルフって言うんだ」
声のする方へ向く俺、そこには大きな鞄を背負った167cm位のお爺さんが立っている。
一瞬で何が起きたか理解した俺である。要は、このお爺さんが俺を助けてくれたと言う事か、ならやる事は一つだな。
「なるほど、すみません。助けていただきありがとうございます」
「なに、気にする事は無い。それよりも君は一人かね?」
そう言いながらお爺さんは辺りを少し見ている。
「はい、俺一人です」
「そうかそうか、名前は?」
「あ、真藤勇軌です」
「ほう……珍しい名前だね。私はノブリス・レーゲン。ノリスと呼んでくれ」
「ノリスさん宜しく御願います」
「あぁ、それよりも何故此処に一人で居るんだ? ここは危険区域だから冒険者以外は一人で入っては行けない所だ」
「実は――」
待て待て、俺。ここで実は死んで目を覚ましたらここに居ました。何て言って信じて貰えるか?
なら、どう説明する俺。と悩んでいる俺を見たノリスさんは、
「記憶の混濁か、名前は分かるが他が覚えてない。そんな所だろう」
「え、あ、はい。そうです……」
うんうん。と頷きながら何かを納得したノリスさん。何かよく分からないけど、今はそんな感じで良いだろう。とりあえず、この危険区域からどうにかでなければならない。
「とりあえず、私の家に来なさい。この世界の事を教えよう。そうすれば少しは記憶も戻るかも知れないからな」
「はい、ありがとうございます」
ラッキーな事にノリスさんは俺を家に案内してくれる。俺はノリスさんの後を付いていく事数分。
「着いたぞ」
そこには一人で暮らすには少しだけ大きい家があった。だが、俺はそれよりも気になった事がある。
「数分で家に着くって事は、ここらへんはまだ……」
「察しが良いな。そうだ、ここらはまだ危険区域だ」
「安全とは言えないじゃないですか!」
俺はノリスさんの発言に驚きながら言う。まさか、こんな場所に住んでいるとは思う筈がない。
完全にハズレだ。助けてくれたのはとても有難いが、これ以上関わるのは非常に危険だと感じた。タイミングを見計らってここを出て近くの街か村を探した方が良さそうだ。
そんな事を思っていると、ノリスさんはフフフと笑う。
「実はここはモンスターが寄ってこないんだ。じゃなきゃこんな所に家なんか建てないさ」
ノリスさんの発言にまた俺は驚かされる。確かに危険区域と知りながら、そこに家を建てるなど、とんだ自殺願望者のやることだ。しかし、理由がしっかりしているのであれば、それは間違ってはいない。が、
「本当にモンスターは寄ってこないんですか……?」
「確かに信じがたいが、私はここで10年住んでいる。しかし、モンスターの襲撃は一度も無い」
嘘を付いている様に見えない。何故なら、目が本気で言っていたからだ。
「……信じます」
「そうか、ありがとう勇軌君」
俺はノリスさんを信じ言うと、ノリスさんは嬉しそうな笑みを浮べながら俺に言った。
そしてノリスさんは木製の階段を数段上がり、家の扉を開けると、
「君を歓迎しよう。真藤勇軌君」
「はい、よろしくお願いします」
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