あとがきに代えて

7-1. おまけ

~~ 1-1. 音楽著作権管理団体 SCRAP ~~


>SCRAPは、この異世界の、たった1つ現世には1以上の音楽著作権管理団体だった。

 現実世界においては、言わずと知れたJASRACの他に、Nextoneという管理団体もあります。エイベックス系の所ですね。

 選択の自由が増える事は、いいことだと筆者は思います。




~~ 1-2. 正論と感情 ~~

【包括契約の便利さと損得】

 「一曲毎に管理するのは大変だから包括で」というのは、合理的かと思います。

 その額は、どのくらいにすべきなのか? という点は、論点になるでしょう。

 現実世界の、「受講料の2.5%」は高いのか? という所も含めて。

 クラシックばかり教えているところと、流行歌を教えている所でも、支払う値段に対するお得感は違うはずですが、そのへんの調整はあるんでしょうか? 気になる所です。

 ほら……自動車保険でも、ゴールド免許とか、走行距離次第で、割引きになったりしますし……。



~~ 2-3. 本当にセーフなのか? ~~

【準拠法について】

参考文献:

http://www.sankei.com/premium/news/180318/prm1803180014-n1.html

 現実世界の「漫画村」について、

「日本の漫画ばかりを日本語のサイトで提供し、読者もほぼ日本からのアクセスである以上、“侵害の結果”は日本で発生しており、日本の法律(著作権法)は適用されるでしょう」

 と福井先生がおっしゃっておられます。

 一方、従来の説ではリーチサイトの摘発が難しかった事等も書かれております。


参考文献2:

 http://kai-you.net/article/51244

 相当細かくガッツリ検討されております。要約しちゃうと情報が歪む程、濃い内容なので、原典に潜っていただければ。



【訴追に際しての、壁の存在】

 参考文献2の中に、

『発信者情報開示請求を行うには、サーバーが置かれている国の開示請求手続きに従った上で、「漫画村」の違法性をサーバー側に証明しなければならないため、ここで難航する可能性がある。』


 という記載があります。

 結局、ここじゃないか? と思うわけです。訴えるのに必要な情報(相手方の特定を含めて)を集められるのか? という点。

 いや、法の趣旨(創作のインセンティブ保護)からすると黒にしたいんだけど、現実に訴えるのが大変、という現状なのかと。



【だから、サイトブロック等が検討されている】

 サイトブロッキングの流れが本当に来ていることについては、例えば

 http://diamond.jp/articles/-/164115

 等を参照。




~~ 2-4. 著作権ディストピア ~~


ただ乗りフリーライド

 現世の、日本では。


 「フリーライド防止法!」

 「顧客吸引力保護法!」

  ……みたいな、法目的がドンズバなやつが1つある感じでは……実は無かったりします。いろんな法律にまたがって、フリーライドの抑止へのケアがなされています。


 例えば、現世の日本の商標法。

 有名ブランドに似た名前とかロゴがついた、パチモンなバッグとか、たくさんありますよね? アレへの対策。

 侵害訴訟で……ってだけではなく、税関の水際対策もあって有効。

 ただ、「商標にまつわるエトセトラ」に対策してるんであって、「フリーライドなら何でも商標法で対応します!」ってわけじゃ無い。



 商標に似た話ですと、不正競争防止法の2条1項1号、2号は、周知著名なブランドにただ乗りしようとしてくる商品の販売等を、「不正競争行為」として規制しています。


 商品の「カタチ」の模倣防止なんかだと、意匠法とか、不正競争防止法2条1項3号とか。


 本作のテーマである、著作権は……。

 複製権だけでなくて、翻案権もありますからね。

『本質的特徴を直接感得』するところまでは権利が及ぶわけだから、

 デッドコピーみたいなフリーライドは、がっつりアウトになりますね。

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